2020年夏季五輪の東京開催が決まり、政府は10日午後、安倍晋三首相(58)と全閣僚による閣僚会議を開いた。首相は席上、国際オリンピック委員会(IOC)総会で解決を約束した東京電力福島第1原発の汚染水問題について、「政府一丸となって、しっかりと責任を果たす」と改めて対策を急ぐ考えを示した。だが、東日本大震災から11日で2年半を迎えるいまも、放射性物質を含んだ汚染水対策は想定外の事態が続き、原発事故収束の大きな障害となっている。日本が“国際公約”を果たす道のりは、決して楽観できない状況だ。
凍土遮水壁で流入防止
安倍首相はIOC総会の席上、五輪招致の最大の壁とみられていた汚染水問題について「状況はコントロールされている。今後も東京にダメージを与えることはない。私が保証する」と明言。質問に答える形で、汚染水は「(第1原発)港湾内の0.3平方キロメートルの範囲内で完全にブロックされている」「将来も健康に問題はないと約束する」と強い言葉を重ねた。
東京開催決定後、首相は「自信があるから(解決できると)申し上げ、海外からの不安を払拭できた。払拭できたからこそ日本が招致を勝ち得ることができた」と述べ、“国際公約”を表明した意義を強調した。
首相らが「安全」の根拠としたのは、国費470億円を投入する汚染水対策だ。7年後に汚染水はどうなっているのか。筋書きはこうだ。