政府は10日、地方自治体が出資する第三セクターや地方公社を廃止、整理する際に必要な経費を賄う地方債「第三セクター等改革推進債(三セク債)」について、発行期間を延長する方針を固めた。発行期限は平成25年度末までだが処理が遅れている自治体が多いため。延長幅は2年を軸に調整しており、来年の通常国会に地方財政法改正案を提出する。
総務省は、経営悪化で破綻する恐れのある法人の処理を促すため、21~25年度に限り、自治体に償還期間10~30年の三セク債発行を許可してきた。自治体は調達した資金で、法人の事業清算や民間への売却などを行っている。
しかし、利害関係者の理解が得にくいことなどを理由に改革方針が決まっていない法人がいまだに全体(1923法人)の約4割(718法人)もある。このまま三セク債が発行できなくなれば自治体は出費を分割して計画的に処理することができなくなり、債務保証や損失補償の財政上のリスクを一気に背負う事態に陥りかねない。
このため、総務省は26年度以降も発行条件を厳格化した上で三セク債の発行を認め、処理を加速化させることにした。
25年度は自治体の駆け込み処理が相次ぎ、24年度の1824億円を上回る計3743億円分の発行がすでに認められている。
これまでの累計発行額は約8460億円にのぼるが、三セク債を活用した事業処理は168件にとどまっている。