警視庁の暴力団捜査担当の巡査部長が指定暴力団住吉会系組員に捜査資料を渡していた情報漏洩(ろうえい)事件で、この組員が関与した覚醒剤事件の家宅捜索日程などの情報も巡査部長が入手し、組員側に漏らしていた疑いがあることが10日、捜査関係者への取材で分かった。
捜査関係者によると、組員は30代で、インターネット上で覚醒剤を販売したなどとして今年2月、覚せい剤取締法違反容疑などで逮捕、起訴された。
捜査は今野博司容疑者(40)=地方公務員法違反容疑で逮捕=が所属する組織犯罪対策4課とは別の部署が担当していたが、捜査関係者によると、今野容疑者は捜査本部がある警察署の同僚に電話し、捜査の進捗(しんちょく)状況を聞き出していたという。
警視庁は組員の逮捕前に数回、関係先を家宅捜索したがもぬけの殻だった。最終的に新潟県内のマンションに潜伏していることを突き止め、2月上旬に家宅捜索に入り身柄を確保した。
家宅捜索では覚醒剤や乾燥大麻のほか、昨年3月に東京都内で起きた銃撃事件で逮捕された指定暴力団山口組系組長らの氏名などが載った捜査資料が見つかり、事件が発覚した。
警視庁は、今野容疑者が組員の依頼で捜査資料以外に覚醒剤事件の捜査情報も入手し、漏らしていた可能性があるとみている。