トロピカルフルーツの代表格、パイナップル(パイン)には消化を促進させる働きがある。栄養学に詳しい医師で日本ポリフェノール学会理事長、板倉弘重さんにパインの栄養価を聞いた。(村島有紀)
◆酵素で免疫力アップ
「夏は、水分補給にスイカやさっぱりしたそうめんが好まれがちだが、それだけでは栄養が不足する。暑い国で育つパインは夏向きのフルーツ。消化吸収が悪くなった胃腸に良い食べ物です」と板倉さん。
肉をパインの汁に漬け込むと肉が軟らかくなることは知られている。肉が軟らかくなるのは、パインに含まれる特有のタンパク質分解酵素「ブロメライン」が働くためだ。板倉さんによると、ブロメラインが胃の中で働くと、食べた肉や魚などのタンパク質の消化を促進。腸管免疫に働きかけ、免疫力を高めるほか、ぜんそくやアレルギー性の呼吸器疾患の改善などにもつながる。
また、抗酸化作用のあるビタミンCの含有量はスイカの約2・7倍で、かんきつ類に次いで多い。ビタミンB1・B6、カリウム、植物繊維も豊富で、便秘や肥満の予防にも役立つという。
「いつ食べてもいいが、1日に何回かに分けて食べる方が、より効果的。ブロメラインは熱に弱く、加熱すると壊れてしまうため、デザートやフレッシュジュース、凍らしてシャーベットなど生のままで食べる方がいい」と板倉さん。