東京電力福島第1原発で大量の放射性物質を含んだ地下汚染水が海洋に流出し続けている。汚染水はなぜ海へ流れ、どのような影響を及ぼすのか。東電だけでなく、政府も一体となって汚染水対策に取り組んでいるが、抜本的な解決策は見いだせていない。事故から間もなく2年5カ月になるが、汚染水との果てなき闘いは続く。汚染水流出のポイントを探った。(原子力取材班)
◇
≪現状≫
原因未解明 範囲も拡大
汚染された地下水が海へ流出しているとされるのは、1、2号機タービン建屋海側にある港湾の一帯だ。地下には建屋とつながり、配管や電源ケーブルなどを通しているトレンチ(地下道)が張りめぐらされているが、この中に事故直後に建屋から漏れ出た汚染水がたまっている。
平成23年4月に高濃度汚染水が海に漏れた直後、東電は複数のトレンチの連結部にあたる立て穴に薬剤(水ガラス)やコンクリートを流し込み、トレンチに“栓”をして水をせき止めた。しかし、地中の管路部分には汚染水が液状のまま残された。トレンチ内の水を測定したところ、ストロンチウムなどベータ線を出す放射性物質濃度が1リットル当たり75万ベクレルなど極めて高い値が検出された。
◆地下の水脈通じ
原子力規制委員会は「トレンチ底部の砂利を敷いた砕石部が経路ではないか」(更田(ふけた)豊志委員)と指摘。たまった水がコンクリート製のトレンチ底部のひび割れた場所などから、水を通しやすい砕石層の地中に染み出し、地下の水脈を通じて海へ流れ出ているとみられる。