高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の機器点検漏れを受け、運用主体の日本原子力研究開発機構の見直しを進めていた文部科学省の同機構改革本部は8日、核融合部門などを分離して外部機関に移管する中間報告を正式に発表した。約1割の職員を削減し、業務の中心をもんじゅの運転管理に絞り込む。
国際熱核融合実験炉(ITER)に関わる核融合部門や、5月に放射性物質漏れ事故が起きた大強度陽子加速器施設「J(ジェイ)-PARC(パーク)」(茨城県東海村)がある量子ビーム部門などを外部研究機関に移管。職員は現在の3890人から最大500人削減する。
一方、機構には、もんじゅなど核燃料サイクルの研究開発▽東京電力福島第1原発事故への対応▽原子力の安全性向上研究▽原子力の基礎研究と人材育成-の4分野を残す。
もんじゅは理事長の直轄としトップの意思を反映しやすくするほか、民間発電所の所長級経験者を安全担当役員に登用。もんじゅの職員は研究担当の約50人を削減し、約280人で運転管理に専念させる。
中間報告を受け同機構は今秋をめどに具体的な工程表を策定し、改革に着手。新たな業務内容に応じて機構の名称も変更する。文科省は変更に必要な同機構法の改正案を来年の通常国会に提出する。
同機構の松浦祥次郎理事長は「国民から信頼を得られるように、実効性のある改革に総力を挙げて取り組んでいく」と話した。