政府の規制改革会議は6月、健康食品や農産物で健康への効果を示す「機能性表示」を容認するよう答申した。これまで食品の効果を表示できるのは特定保健用食品(トクホ)と栄養機能食品に限られていたが、来年度中には現行の規制が大きく緩和される見通し。新たな制度は、健康食品市場の活性化が狙いだが、消費者の誤解を招くと懸念する声も上がっている。東京大・食の安全研究センターの清水誠特任教授と、群馬大教育学部の高橋久仁子教授に見解を聞いた。(平沢裕子)
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≪清水誠氏≫
食への関心高まり健康に
--食品の機能性表示をどう思うか
「食品には5大栄養素以外にも多くの成分が含まれ、体にいろいろな影響を与えていることがサイエンスのレベルで分かりつつある。機能が確かなものを利用するのは人類にとってプラスになるし、こうした情報を基に少しでもいい食品を作ろうとする企業努力が社会を豊かにし、最終的に消費者に還元されるのは悪いことではない」
--現行の表示制度で十分では
「トクホは、たとえば『糖尿病のリスクを下げる』としたくても『血糖値が気になる方に』というあいまいな表現しかできない。消費者に分かりにくく、食品を開発した側はもう少し機能を明確に表示したい思いもある。栄養機能食品は栄養成分とその役割を表示するもので、機能表示とは別だと考えている。現状ではどちらも不十分だ」
--そもそもトクホになっていない健康食品に機能性表示ができるほどの科学的根拠があるのか