【変わるか日本 参院選 憲法(1)】「表現の自由」か「妨害」か 沖縄・ヘリパッド移設 | 毎日のニュース

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 バリケードや車両、テントが置かれ「支援者」を名乗る男女が監視もしている。沖縄本島北部の東村・高江。米軍北部訓練場のヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)移設をめぐり激しい妨害活動が続く現場だ。

 ヘリパッド移設は米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)返還を盛り込んだ平成8年のSACO(沖縄特別行動委員会)最終報告に基づく。北部訓練場約7千500ヘクタールのうち約4千ヘクタールを返還する代わりに、返還地にあるヘリパッドを訓練場内の別の場所に6つ移すとの日米合意を受け、2カ所が高江近くに整備される。

 19年7月、防衛省が着工しようとすると工事車両が訓練場に入るのを阻むため反対派が出入り口に座り込んだ。政府高官は「多いときは50人ほど集まった」と話す。工事はいきなり頓挫した。ただ過激な行動に出る地元住民はわずか3世帯で10人以内。50人にまで膨らんだのは県内や県外から支援者が集まったためだ。

 「第2の普天間問題にする反対運動こそが目的だ」

 不信感を抱いた住民の大半は妨害活動とは一線を画す。22年7月、騒音測定機の設置などを防衛省に要請し、安全対策の徹底という現実路線に舵を切った。

 過激な妨害活動については国が禁止を求め訴訟に持ち込まれた。1審は禁止を命じ、今年6月の控訴審判決も1審を支持したが、住民は最高裁に上告した。

 この訴訟で最大の争点になったのが妨害活動を「表現の自由」と認めるかどうか。1、2審とも妨害行為と認定されたことで、表現の自由という主張は退けられた形だ。政府高官は「この妨害行為は威力業務妨害だ」とも明言する。