海水浴シーズン到来も子供が「海離れ」 「ベタベタするから」苦手 | 毎日のニュース

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 日本の代表的レジャーだった海水浴。しかし、平成に入ってからは「海水浴離れ」が進み、子供の「海嫌い」も増えているとみられる。臨海学校を実施する小中学校も少なく、「近くの海」を知らずに育つ子供が増えそうだ。(村島有紀)

安全が確認されても

 東京都新宿区の会社員、吉池裕美子さん=仮名=は小学5年生の次男(9)を海水浴に連れて行ったことがない。「『車がないから特別』と思っていたが、次男の学習塾でも『半数が海で泳いだことがない』と聞いて、驚いた」

 江東区立小学校の校長は「最近の子供は『ベタベタするから』と海が苦手。ハワイや沖縄には行くが、近くの神奈川・三浦半島には行ったことがないという家庭も多いかもしれない」と話す。

 日本生産性本部(東京都渋谷区)の「レジャー白書」によると、昭和62、63年の海水浴参加人口は年平均約3200万人を超えていたが、平成22年は1480万人と半減。23年は東京電力福島第1原発事故の影響などもあり、激減。千葉県の海水浴場などは「水質検査で安全が確認され、客足は東日本大震災前に戻りつつある」とするが、減少傾向には変化がない。

公教育も敬遠

 公教育でも臨海学校を実施する小中学校は少数だ。宿泊体験は林間でのハイキングや田植え、スキー研修などと多様化。近海での海水浴を未経験のまま、大人になるケースが増えているとみられる。

 小学校関係者に臨海をしない理由を尋ねてみると、肌が弱い子がいる▽7、8人に1人の職員配置が必要で費用負担が大▽臨海の経験がない教員が増え、指導が難しい-など。遠泳を実施するには専門の水難救助員を雇うなど、手厚い態勢ができる私立や公立でも伝統校などに限られるのが実情だ。