久しぶりに元興国高校監督・内野さんの動画を見て、感銘を受けました。
動画を見ていただければわかると思いますが、日本の育成現場では内野さんのような考え方は少数派だと思います。
ただ、私は内野さんの考え方とほぼ同じような考えでコーチをしています。
まずは、とにかくうまくなること、です。
それも、よくサッカー玄人の方が言うような「サッカーがうまい」のではなくて、純粋に「ボールテクニックがうまい」を目指しています。もしくは球際の身体の使い方も技術というべきでしょう。
つまり、ドリブルを中心にして、止めて蹴るをとにかくうまくするということです。
「判断」は二の次です。
どうしてそうかというと、私は「判断」というものを、独立したものとして捉えていないのです。
私は判断とは、技術に依存するものだと思っているのです。
たとえば、ボールを10mしか蹴れない選手と、40m蹴れる選手がいるとします。
当然ですが、40m蹴れる選手は、判断の材料が段違いに多いのです。
そういった技術依存的なことは至るところに見られるでしょう。
1対1でキープできるかできないか、適切なタイミングで首を振れるか振れないか、思ったところにボールを止められるか止められないか、そういったいくらでもある技術的ポイントのなかで、その選手は自分に課せられた技術的制約の中で判断することになります。
結局技術が低いと、そのレベルでしか判断できないことになります。
そう考えたとき、最も技術が身につくと言われるジュニア年代で、私はとことん技術を磨いた方がいいのではないかと思います。
極論すれば、子どもが飽きないことが大前提ですが、ジュニア年代ではサッカーの試合をやるよりも、個別的な技術練習を徹底的にやった方が今後につながるとすら思っています。
そうでなくても、たとえば試合をするのでも、チームとして勝つことを求めるよりも「今日〇人ドリブルで抜けた!」とかの方がうまくなると私は思っています。
このアプローチは、私の尊敬するA監督のものですが、実際に成果が出ています。
A監督のチームは都道府県大会にも出れないくらいですが、ここ15年でユース日本代表を2人輩出しています。
さらに、A監督に教えてもらってyoutubeで見てみたら、今夏、某J下部ジュニアユースのエースとして大活躍している選手がA監督チーム出身でした。彼もそのうち、ユース日本代表に入ってくると思います。
J下部組織は、小学時代はみんな錚々たる名門チームの子ばかりなのに、なぜかA監督出身の子はJ下部に合格すると、そういう子たちをごぼう抜きしてエースになってしまうのです。ここ20年で某J下部ジュニアユースとユースで、A監督チーム出身で3人もの子がエースになっているので、偶然とはいえないでしょう。
A監督のチームは、とにかく個人技勝負なので、個人が伸びるのだと思います。
↑動画最後の方で、内野さんが興味深いことを言っています。
それは、イニエスタはバルサ・カンテラに入ってきたときはドリブラーだったということでした。イニエスタがバルサ・カンテラに入る前のクラブが、自由なクラブだったといういうことでした。
私はそれを聞いて合点がいきました。
イニエスタは本質的にドリブラーだと思っていたからです。
そしてバルサコーチは「イニエスタには技術は教えていない、ただフットボールのやり方だけを教えた」と語ったと言います。
私はそういうことだと思うのです。
まず最初はみんなドリブラーでいいのではないでしょうか。
どこのタイミングで「フットボールを学ぶ」かは、人それぞれだと思います。
ただ、ウィキペディアによると、イニエスタは12歳でバルサ・カンテラに入ったようです。
メッシはおそらく13歳です。12歳までは「ドリブルの国」アルゼンチンで、ドリブルばかりしていたと思います。
この2人の例では少なすぎますが、しかしこの伝説的な2人が同じような経路を辿っているのは興味深いところです。
つまり、メッシとイニエスタの例から言えるのは、小学生では思う存分ドリブルし、中学年代からパスを覚えればいいということです。
今シーズンのレアルマドリーの開幕戦を見て、ドリブルに対する思いは確信に変わった気がしました。
現在、世界で最も価値があると言われるフットボーラーが4人いて、そのうちの3人がレアルマドリーに所属しています。
ヴィニシウス、エムバペ、ベリンガムです。
確かに彼ら3人は、見ていて別格なのでした。
とにかくボールを持てるのです。
いつもボールを持って相手と正対できます。
そして常に細かいボディフェイントを入れられます。
結局正対してボールを持てるかどうかかなと思いましたし、その基礎となるドリブル技術が前提だと思いました。