真夏の師匠。 | 徒然に。

徒然に。

思ったことを気ままに。

 勝手に師匠だと思っているA監督から、ありがたいことに練習試合の誘いをよくいただきます。

 本日、低学年の練習試合をしてきました。

 

 酷暑の午前9時、試合会場に入ると「おい!こんな暑いのにサッカーなんかできるかよ!中止の連絡待ってたのによー!」といきなり言ってきます(笑)。誘われたのはこっちなのに、、、(笑)。

 ですが、なにかそういうところが、A監督の一流の言い方だといつも思います。

 真意は、こんな暑い中での試合なので、まず健康第一でやろうということでしょう。

 それを「○○君、猛暑なので子どもの健康第一でやりましょう!」とか直接言われると、「そんなことはわかってる!」と反発したくなります。ですが、伝えたいことをユーモアで表現できるということは、A監督は本当にすごいといつも思っています。

 

 私は試合前の5分前に、申し訳ない程度のアップをやりました。

 私のアップは圧倒的に短い方です。これから必死に試合で走るのに、アップを念入りにやってもなと思うからです。さらにこの酷暑です。

 ですが今回ばかりは負けました。

 A監督のチームは、ずっと日陰で休んでいて、アップなしで試合に臨んできました(笑)。

 なにか最初から負けた気がして悔しいです(笑)。

 

 ただ、うちとA監督のチーム2チームの試合ということで、私からするとたっぷり学べる日でした。空き時間がかなりあります。

 そして話を振れば、A監督は快く答えてくれるのです。

 私は数少ない自分の長所(?)として「この人は素晴らしい!」と思えば、遠慮なく話を聞きにいくことがあります。

 少年サッカー界では、私には2人、尊敬する師匠がいます(もう一人をB監督とします)。この2チームと試合をするときは、監督にとにかく話を聞きに行きます。

 そこで数えきれないほどの学びがありましたし、今もあるのです。

 そして私がこの2人を師匠だと勝手に定めたのは、大学生の頃にサッカーコーチを始めた25年ほども前のことでした。

 その頃は、その2チームからは特にいい選手が輩出されていたわけではありませんでした。

 この両監督もまだ若かったので、そこまで卒業生もいなかったこともあります。

 ですが、この2チームと試合をしてみて「これはすごい!」と直観したのでした。

 その後、私は大学卒業後、サッカー界からは完全に離れていたのですが、ある日たまたま見たヤフーニュースを見て驚愕したのでした。

 その2チーム出身の子が、U18日本代表のダブルボランチを組んでいたのです!

 都道府県大会にも出られないようなレベルのチーム出身なのに、これは凄いと思いました。

 そして私は、自分の直観に自信を持ったのでした。

 実際、A監督のチームからはここ15年でユース日本代表が2人輩出されています。しかも3人目もほぼ輩出されそうです。

 B監督のチームも、市内の平凡なチームなのにプロを3人ほど輩出しており、なでしこ日本代表も輩出しています。

 

 今日、A監督に聞いた話を書きたいと思います。

 私はいつも書いていることですが、とにかく言論空間には、たくさんの意見があった方がいいと思っています。

 なのでもちろん、A監督が真理を言っているのかはわからないと思っています。

 ですが、運動が苦手な子も卒業まで育てつつ、ユース日本代表を2人輩出し、毎年のようにJ下部組織に選手を送り出しているA監督の言葉は、少年サッカーを愛する人のために、残るべきだと思っているのです。

 私が毎回「ブログ上で議論したいわけではありません、反論はスルーします」と書いているのは、そういう理由です。

 誰かと議論して、○○が正解だと決める嗜好を私は持っていません。

 とにかく「○○の実績がある人は△△と言っている」という「記録」を残したいのです。

 私自身の取り組みも、そういう動機で書いています。

 私がやっていることが正しいか間違っているかを判定してほしいわけではありません。

 数ある方法論のなかで試してみて自分に合うならばよかったね、ということです。

 そしてその方法論は、たくさんあった方がより豊かだと思うのです。

 

 本題です。

 A監督の言葉を書きたいと思います。

 

・団子サッカーは、むしろ経験させなくちゃいけないと思う。その過程を飛ばすことが流行りだけど、密集地帯でボールを取った取られたの経験は、大きいと思うよ。そこを強制的にきれいにやらせすぎると、その辺の子どもの身体動作の複雑な何かのある部分を失うと思う。 

 

・一番うまい子は、センターバックにする。そこから抜いていかせる。うまい子をサイドに置くと、相手を見て抜くんじゃなくて、外回りで抜くようになる。だからいくら外から抜いていっても「おまえ何人抜いたの?」と言う。だって外からスピードで抜いても、1人も抜いてないよ。真ん中で切り返しを入れながら抜けないと、抜いたうちに入らない。それで、センターバックから真ん中を抜けるようになった子に、高学年になって前目のポジションをやらせると「あれ?1人抜いたらもうシュート打てるじゃん!」となる。

 

・ある程度ボールを持てるようになったら、左右両足でボールを蹴ることを教えるべき。

 

・「素人のチーム」は、ボールを触りたがるけど、まず身体を入れてからボールを触るべき。それは手の使い方だったりだけど、その辺の練習は徹底すべき。

 

・サイドから中に入っていくタッチは、しつこく言った方がいい。

 

 ただ、以前に何度も書いているように、私からはそこまで目新しいことではないのです。

 ですが、A監督のチームと対戦すると、徹底度に違いがあるのが、私の甘いところだなと思い、学ぶことばかりです。

 ただ、ひそかに思っているのは、解剖学や物理学を応用してやっている私の方法論で、いつか師匠に「恩返し」をしたいなということです。

 私は尊敬しているからこそ、師匠を超えたいのです。

 そして、そういうグラウンド風景こそ、私にとっては生きている意味な気がしています。