カンナバーロとハーランド。 | 徒然に。

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 カンナバーロはイタリアの往年の名ディフェンダーです。

 2006年にはキャプテンとしてワールドカップに優勝し、その年のバロンドールを獲っています。

 ハーランドは、現在世界最高のストライカーだと思います。

 ディフェンダーとフォワードでは、役割がまったくの逆ですが、ゴール前での攻防ということで、実は同じようなことをやっていると私は思っています。

 そんなことを、カンナバーロとハーランドを題材にして書いてみたいと思います。

 参考動画は↓です。

 

 

 

 まず2人とも卓越していると思うのが、「身体の向き」が非常にいいのです。

 常に半身になり、ボールと敵を視野に入れるようにしています。

 例えばカンナバーロ動画58秒では、半身の姿勢を取りながら、走りこんでくる相手に対応しています。カンナバーロの近くに相手フォワードがいてカンナバーロの背中に入っています。ですがもちろんそれは織り込み済みだと私は思います。その相手フォワードは、イタリアのもう一人のセンターバックが見ます。なぜならそのセンターバックは、相手フォワードを自分の視野に入れているからです。その辺の意思疎通が完璧だから、当時のイタリア代表は鉄壁のディフェンスを誇ったのだと思います。

 対してハーランド動画7分45秒では、ハーランドは相手のディフェンダーを視野に入れて、ボールと相手ディフェンダーを見れるように半身になりながら相手ディフェンダーの背中を取っているのです。

 

 つまりディフェンダーにしろフォワードにしろ「同一視野にボールと相手を置くこと」が大事です。

 フォワードはなんとかディフェンダーの視野から消えようとしますし、ディフェンダーは自分の視野からフォワードが消えないようにします。

 これこそがゴール前の駆け引きの本質だと私は思っています。

 

 そのことを風間八宏さんの『サッカー外す解剖図鑑』のなかの対談で中村憲剛さんが語っています。

 この本はお勧めです。風間本はほとんど読んだと思いますが、この本と『技術解体新書』は本当にいいと思います。

相手の視野から一回外れるというか、視野の外に出てから受けに入る動きをすることで、相手との距離感が空くから、そこで受けられる。そのトレーニング中、敵がずっと見えている前で動いていることがあって、そうすると風間さんがピッと笛を吹いて、『それは外すんじゃなくて頑張ってるだけだから』と。

 さらに、ジャンプヘッドは、ゴール前の醍醐味の一つであり、フォワードにとってもディフェンダーにとっても、そこで勝てるかどうかは、自身の評価に直結するところだと思います。

 そうしたなか、カンナバーロとハーランドに共通していると私が思うのが「ジャンプの最高点からわずかに身体が沈み始めるくらいのところでボールをミートしている」ということです。

 カンナバーロ動画1分7秒や、ハーランド動画7分ですが、落下する身体と同時にヘディングしています。

 理由としては、相手より先にジャンプすることで、制空権を握ることがあるのではないかなと思います。

 先にジャンプした相手に対して後からジャンプしても、先にジャンプした相手に手で抑えられるなりして、普通は勝つことができません。

 

 そういった視点で見ると、ハーランドもカンナバーロも凄まじいレベルなのですが、実は基本に忠実なのだと思います。

 ハーランドもカンナバーロも、半身になって同一視野にボールと相手を入れて、駆け引きすることを試合中ずっとやっているだけなのだともいえます。

 そういった点、私はやはり幼少期には「1対1」を多くやったほうがいいのではないかと考えています。

 レベルが上がってくると、ディフェンダーは半身になって構えるようになります。教えられてなるのかもしれませんが、どちらにしろ半身になれば抜かれることは少ないのです。

 たとえば↓の現在世界最高のセンターバックと言われるファン・ダイクとハーランドの「1対1」ですが、ファン・ダイクは半身で対応しています。

 

 

 こういった身体の向きを作れれば、パスに対しても同じように半身になって対応できるようになると私は考えています。

 原理は同じだからです。

 ドリブルを仕掛けてくる相手は、「マークする相手とボールが同じところにある」というだけの話で、ディフェンダーとしては相手とボールを同一視野で見ることは同じです。

 背中を取られないために、半身になっているのは、パスに対しても通じるのだと私は思っています。