北京大学の中国人学生に学ぶ。 | 徒然に。

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 北京大学は、清華大学と並んで中国最高の大学と評価されています。 



 私は留学生枠で北京大学に入学したので、中国人学生のように熾烈な受験戦争をくぐり抜けたわけではないのですが、入学前から彼ら中国人学生と切磋琢磨できるかと思うと楽しみでした。
 そして実際に彼らと机を並べてみると、想像以上に彼らの勉強レベルや人間性がすごくて驚愕しました。
 その中で、北京大学の中国人学生の「勉強のやり方」について、思うところを書いてみたいと思います。

 実は中国人は日本人とは勉強のやり方がかなり違います。
 日本人は「問題演習」を重視するスタイルが多いと思います。
 ですが中国人は「教科書の読み込み」をとにかく重視します。
 最初は「北京大学の学生といっても、ずいぶん古典的な勉強方法をみんなするんだな」と思っていました。
 ですが徐々にその中国式の勉強法の良さが分かってきました。
 きっかけになったのが、中国人のなかで成績トップを競っていたW君です。(前回のブログで私は6年連続成績優秀を取ったとありますが、留学生のなかでの話です。中国人に混じったら平均点にも届いていないと思います。それくらい中国人学生と世界中の留学生には差がありました)
 W君があるとき、挙手して教授に質問しました。
「先生、教科書のP◯◯ページに、△△と書いてあり、先生の説明と違いますが、どう考えればいいのですか」
 教科書を見もせず、教科書のページ数を言い、一字一句間違えずに教科書のその部分を引用しました。
 私は驚愕しました。
 そしておそらく、W君の頭の中には、教科書の内容が映像のように映っているのだと推測しました。
 ということは、試験中でも患者を診ているときでも、頭の中の教科書をめくれるということです。
 私は感心し、それ以来、勉強法を変えました。留学生仲間は問題集やポイント集をやる人が大半でしたが、私はとにかく教科書を読み込むようにしました。

 日本では「詰め込み教育の弊害」が言われて久しいです。
 さらにインターネットの普及により、暗記よりも情報を使いこなす能力が重視されるようになってきました。
 ただ私は、北京大学の中国人学生を見てきて、そのような方針に疑問を持っています。
 そもそも暗記していなければ、大まかな方針を立てる材料すらありません。暗記しているからこそ「あ、このことはあれと繋がるかもしれない」と頭に浮かぶのだと思います。
 そういったことが如実に現れているのが「英語教育」だと思います。
 「楽しみながら」「使える英語を」などとやっていますが、私には疑問があります。
 北京大学の中国人学生で英語を喋れない人はいませんでした。欧米の研究者が英語で発表するときは、英語のまま理解し、普通に英語で質問していました。
 そんな彼らの英語学習法は何かというと「ひたすら音読」でした。
 大学の廊下で英語の音読をしている学生をしょっちゅう見かけました。彼らはとにかく例文ごと丸暗記するのです。

 たしかレオナルド・ダ・ヴィンチだったと思いますが、イメージの訓練法でおもしろいことを書いています。
 ある物体をじっと眺めます。
 その後、その物体を見ないで紙に正確に模写します。
 私は北京大学の中国人学生と同じだと思いました。
 繰り返し訓練することで、頭の中で映像が浮かぶようになってきます。
 勉強で私がよくやっていたし今でもやるのが「要点のまとめ」みたいなものを、見ないでノートに手書きで再現するというものです。
 思い出そうとするときに、映像を思い出そうとするので、いい訓練になっています。
 サッカーでも使えるかもしれないと思っています。
 試合の様子を撮影しておき、あるプレーを切り取り、そのときの味方と敵の位置、もっと細かくできれば身体の向きなどの情報を、できるだけその場面に忠実に、紙に書いてみる、などはおもしろいなと思います。
 そのうち試してみようかなと思っています。