ギガントピテクスは、ヒト上科の絶滅した属の一つである、大型類人猿です。身長約3m、体重約300 - 540kgに達すると推測される本種は、現在知られる限り、史上最大のヒト上科動物であり、かつ、史上最大の霊長類です。

約100万年前(新生代第四紀更新世前期後半カラブリアン)前後に出現したと見られ、中国南部から確実な記録が知られ、タイやベトナム、インドネシアなどからも同属のものとされる記録があるが、30万年前(更新世後期前半イオニアン、中期旧石器時代の初頭)あたりを境にしてそれ以降確認されない。本種の生存期間はホモ・エレクトゥス類が栄えていた時期と重なり、両者の生息域はかなり重複していたようである。

これまでに発見されたギガントピテクスの化石は3個の下顎骨と歯のみであり、情報量はきわめて乏しい。そのため、全体像の再現は憶測・推定によるところが大きい。少なくとも身長を推定し得る四肢骨が発見されていない以上、正確な数値を導き出すことは叶わない。しかし、発掘された大臼歯は1in(25.4mm)四方もあり、下顎骨もホモ・サピエンスの2倍以上という巨大なものであった。そのことは確かである。そしてこの数値に基づいて、本種は身長約3m、体重約300- 500kg、最大で約540kgにもなったと推測され、これまでに確認されたヒト上科の中で最も大型であったと考えられている。もっとも、本種は顎と歯がただ大きいだけで、実際の体格はゴリラ程度であったと考える研究者もいる。2017年には体重200-300kgほどであると推測された。

ギガントピテクスの絶滅原因については、さまざまな説が唱えられています。最も有力な説は、気候変動による環境の変化に適応できず、生息域の縮小や食料難によって絶滅したというものです。また、ホモ・エレクトゥスなどの競合種との競争によって絶滅したという説や、人類による狩猟によって絶滅したという説などもあります。

ギガントピテクスは、その巨大な体格と謎の絶滅原因から、古生物学においても人類学においても、重要な研究対象となっています。