おはようございます!

暑さのピークは過ぎたとはいえ、まだまだ暑い日が続きます(-_-;)熱中症にならないように涼しい環境で水分を十分に摂取して、気をつけていきましょう!

 

 

今日は写真はありませんが、76歳男性の利用者のN様の個別機能訓練についてお話をしたいと思います。

この方はパーキソニズム(特に小刻み歩行が顕著)と進行性核上性麻痺という難病の疾患持ちです。長谷川式は30点中9点で、理解力の低下はあるにせよ、会話はしっかりできる方です。

 

 

この方の歩行の特徴はこうです。何かつかまる対象物が近くにあると、そればかりに目が行ってしまい、手を伸ばしたり前傾姿勢となって余計に足が出ず小刻み歩行が増長されて転倒リスクが格段に高くなる・・・。正直よくある話だと思います。また指示や説明をしても、なかなかに理解していただけず、我流になってしまいます。細かいことですが、歩行器のブレーキをかけたまま歩こうとされます。ブレーキを解除して歩くように何度も伝えるのですが、普段の生活で歩行器を使っていないこともあって、なかなかに守っていただけません。

 

 

「歩幅を大きく、足を前に」と指示を何度も出しても、実はそれが本人の精神的なストレスになっていることに気づきました。N様は「いや、わかっとるんや。でも身体が言う事きかんのや」と言われ、これにはハッとさせられました。普段の生活でよりスムーズに歩けるように、活動的な生活がおくれるように、転倒リスクを少しでもさげられるようにと思い、指導させていただいたつもりでしたが、本人がこのように受け取ってしまっては元も子もありません。

 

 

理解力の低下という観点からも、理論を説明するとか、そういう方法ではダメだなと思ったものです。そこで職員の一人が、「手引き歩行」をしてくれました。つまり身体で覚えていただくということですね。手と手で触れ合い、職員がリードすることで安心感がうまれます。その状態で足を前に出していただくように伝え、実際に大股で前に足がちゃんと出ていて歩けていたのですね。

 

 

 

片麻痺の方の訓練における「エアー杖」という方法があります。これと似ていますね。職員が杖の代わりにと下から手を握って支え、利用者様に上から職員の手を押していただく。すると杖なしでもほとんどの方は歩けますから、「杖なしでも歩けている!」と喜んでくださることが多いのですね。

 

 

N様もこのやり方で手ごたえを感じてくださったのか、歩行訓練後はとてもいい表情をされていました。また自信がついたようです。送迎後、降車後に奥様にも少し見ていただきましたが、「なに、アンタ結構歩けるじゃん」と驚かれていました。

 

 

手と手が接触するわけですから、訓練後にお互いにアルコール消毒をするなどの感染症対策をすること。また万が一バランスを崩した時に支えられるようするなど転倒予防策をしっかり考えなければなりませんが、私たちもN様の自信のついた顔をみて嬉しく思いました。自信を失って意欲がなくなって練習しなくなって機能が落ちてまた自信を失って・・・・。こんな負のスパイラルにハマる方がいかに多いか。その逆、プラスのスパイラルにのるためにも、自信をつけていただくことはとても大事だと思います。

 

 

調子が良い時に個別機能訓練として、これからも感染症対策や転倒予防策を十分に考えた上で実施していきたいと思います!