弁護士石井一旭のよしなしごと

弁護士石井一旭のよしなしごと

京都市中京区・あさひ法律事務所弁護士石井一旭のブログです。
折を見ては書いている個人的備忘録ですが、
これもいつか誰かを暖めうるかもしれません。
一隅を照らす、これ即ち国宝なり。

裁判所には「本庁」と「支部」があります。

 

たとえば京都府内ですと、京都市内は京都地裁・家裁が唯一の管轄となっていますが、

南丹市では「本庁」が京都地裁・家裁、「支部」が「京都地方・家庭裁判所園部支部」とされています。

 

では、南丹市にしか管轄が認められない事件は、「京都地方・家庭裁判所園部支部」に

訴えを提起しなければならないのでしょうか。

 

結論から言うと、そんなことはなく、

南丹市にしか管轄が認められない事件であっても

本庁である京都地裁・家裁に提訴することは可能です。

 

裁判所の支部は、

「外部に対しては本庁と一体をなすものであって、支部の権限、管轄区域は、

裁判所内部の事務分配の基準にすぎない」(最判昭和44年3月25日)

ので、ある訴訟を本庁で取り扱うか、支部で取り扱うかは、管轄の問題ではありません。

あくまで裁判所内での事務分担の問題にすぎないのです。

 

つまり、南丹市の事件について本庁に提訴があった場合、

そのまま本庁で審理するか、園部支部で審理するかの判断は裁判所が決定します。
裁判所の判断によっては、園部支部で審理すべきであるとして、「回付」の手続が取られることがあります。

「回付」は「移送」とは異なり、不服申立てができません。

 

本庁で事件を取り扱ってほしい原告としては、上申書を提出して、

支部への回付をしないよう求めることになります。

この場合でも被告側が異議を述べた場合には、支部に回付されるのが一般的です。