高山恭子はカット技術を取得した前後での成績をまとめていた。

 

「なかなか解釈の難しい結果よね…」

 

 

「一つ言えるのは、三振は間違いなく減るという事ね。」

 

カット技術は三振になるようなボールをカットして三振を逃れるため、それが減るのは当たり前と思われる。

 

打撃普通での結果は、四死球は変化がないが三振が減っている。

 

打撃積極の時は、カットありの方が打率も低く四死球も少なくなっており、いい投手と当たっていた可能性が高いと思われるが、それでも三振数は減っている。

 

「三振は減っているけど、出塁率は打撃普通で変化なし、打撃積極では下がっているわね。三振が減る以外にメリットがあるのかどうかは分からないわね…」

 

「カットありで打撃普通と積極を比べると、積極の方が打率がいいけど、出塁率や得点は普通の方がいいわね。相手投手の差もありそうだけど、カット技術を獲得したなら打撃普通も視野に入れていいかもね。」

 

「そして…」

 

恭子はため息をついた。

 

「待球にするとどうなのだろう?検証できないのがつらい所ね。」

 

カット技術は待球でより効果を発揮すると言われている。

 

その効果を調べたいところだが、練習試合で相手投手に球数を投げさせる待球は嫌われている。

 

自分達がやられて嫌な事は、相手には出来ない。

 

検証は難しいのが現実だ。

 

現時点では以下の様な事が推定される。

 

・三振を取る変化球の投手にはカット技術は有効かも

 

・コントロールの悪い投手にもカット技術は有効かも

 

・コントロールの悪い投手の時の時は打撃積極よりも打撃普通や待球も有効かも

 

・ナックル投手の時も好投されていても、待球なら早い回で引っ込めることが出来るかも

 

本番で待球を使った方が良いのかどうか、コントロールの悪い投手の時に積極ではなく普通か待球にした方が良いのかどうか、結論は出ていない。

 

悩むことになりそうだ。