平成大家族/中島 京子

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「誰かがいてくれるって、いいもんだよねえ」
(「吾輩は猫ではない」より)
わずらわしいのに、概して言えることはこういうことだった。
なんだかんだ言いながら、人にいらいらしながら、
生きていくのが人間で、人間らしい悩みなのかも。


こういったタイプの、登場人物がたくさんでてくる話は、たいてい「これだれだっけ?」現象に見舞われるんですが、これはそれぞれのキャラが、うまく出されていて、無理なく一家の関係性を理解できました。


「結局のところ、人生を喜劇と見るか悲劇と見るかは、エンディングをどう語るかの差でしかないということです」(「吾輩は猫ではない」より)
こういう考え方が、現代日本人には欠けている。
自分だけ悲劇の主人公のような人があまりに多いではありませんか。
わたしは喜劇の主人公だ、とみんな胸を張って言えばいい。
最後に笑えたら、って。


「一緒にファミリーア・フェリーチェを作ろうではありませんか」というプロポーズは素敵だな、と思う。

恋のくよくよは、どっか、ええねん。
うん、確かに!

うちへかえろう/小川内 初枝

¥1,470
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まず表紙のかわいさにやられた!
ナカミは外見とちがって結構重いんやけど笑

淡々と読み進められる本。
大きな事件があって、状況がどんどん変って、人の心も動かされて…という話では決してありません。
この物語が始まる前に既に起こることは起こっていて、
その後にそれぞれの登場人物がぐだぐだ考えて、変化ない生活をしているように見せかけながら、実は「時間が解決してくれた」という典型かしら、と思う。

こういうタイプはあんまり好かなかったけど、この本は意外にスラスラ読めて不快感も感じませんでした。よきこと、よきこと。


わたしもアンチ自分探し主義。同感した部分を抜粋。
「居場所なんて、探すものじゃない。まして、ありえない場所に居場所なんて見つからない。ないものねだりの、自分探しのようなものだ。探したって、見つかるもんじゃない。探さなければいられない人間には、きっと、探し出して安心できる『自分』なんて、ない。幻なんて求めちゃいけない。
 だから、現実を生きていかなければ、と思う。私はこうして働いて、人とともに笑って、ちゃんと生活をして、そういう穏やかな現実が一つ一つ事実になって、積み重なって、『私』を作る。そして、私の居るところが、居場所になる。
 現実は受け入れがたいものじゃない。生きづらくて、そんな自分がどうして生きているのかを知りたくて、居場所を見つけたくて、それでもどうしても見つからないから、周りの全てが自分を苛むように思えるだけだ。
 ゆっくりと、心を落ち着けて、現実というものに寄り添ってみる。他人に馴染んでゆく。他人とともに在る喜びだって、ちゃんと感じられる。他人は他人なんだと思える。他人の生をなんだか愛しく思える。自分の生だって。」(本文より)

キレる大人はなぜ増えた (朝日新書 90)/香山 リカ

¥735
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わたし自身、怒りの沸点がかなり高い=キレにくい人なので、
きれやすい人の中はどうなってるのか、と気になっていた。

本書のポイントは、時代の流れがキレやすい大人を作っていることに焦点をあてていること。
昔も衝動的にキレやすい人もいただろうが、各々の性質だけの問題じゃないらしい。

アメリカナイズ、アンチエイジング、エリート社会、IT化、成果主義、情動社会・・・といった現代を象徴する時代の流れが、キレやすい人間を作り出している!
あな、おそろしや。

個人的な意見としては、もう少し専門的分析があってもよかったのでは、と。わかりやすいけど、各章で原因っぽいことが述べられているのだけど、結局はどれ、っていうのはなく、全部時代のせいにしてよかったのかな?って思ってしまった。まぁ、新書やからしょうがないか。
キレそうになる人向けなのか、キレないようにするにはどうすればいいのか、で結ばれているしね。しかもストレス貯めない、とか月並みな解決案でよいのか?と思ったり。キレる人にはどう対処したらいいんだろう…。
しかしまぁ、まだ学者さんたちも未開の領域なんでしょうな。面白い分野で興味深く読めますよ。
今後もっと医学的にも社会的にも真剣に深く考えていってほしい、もっと本出してほしい、って思う分野です。


「情動の時代から、再び思考の時代へ。全員が『キレる大人』になってしまう前に、私たちは社会の舵を切ることはできるのだろうか」(本文より)
情動の時代には、私もうんざり。同感でした。

先生、巨大コウモリが廊下を飛んでいます!―鳥取環境大学の森の人間動物行動学/小林 朋道

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動物行動学者の著者なので、
なるほど、文章はウマくない・・・。
話があちこちに飛んで、ところどころ太字になったりするがあまり意味がわからない強調のしかただと感じる。

しかし、
人間比較行動学も専門としているキョウジュなので、
「動物がこんなふうだった」だけにとどまらす、
動物の行動を分析する人間の心理や行動の所以までを考慮して書かれている点は面白い。


「未知の怪物や這い寄ってくる生き物を前にしたとき覚える恐怖の感覚、背筋がぞくぞくするような魅惑は、人々を明日まで無事に過ごさせてくれたことだろう。そうした感覚は、現在の不毛な都会のただなかに住むわれわれでさえ感じることができる。」(本文より)
環境に適合するように機能を変化させながら生き延びてきた動物達を尊敬するとともに、人間もまた、その動物の一種であることを気付かされる。
ゲーテさんこんばんは (集英社文庫)/池内 紀

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ゲーテさん すごいおもろい!
「ファウスト」や「若きウェルテルの悩み」など、有名な作品は多いけど、
それ以上に人間的になかなかおもしろい人です、この人。

恋愛を恐がって逃げ出したり(しかも両思いかもしれんのに逃げる)、
ありえん位体力あったり、
骨にハマったり・・・

好奇心のままに生きてる感じ・妙に人間らしいところ、かわいい。

しかしながら、隣国でのフランス革命や徐々に経済人間が登場しだす時代を背景に、力強く、正しく生きたおっちゃん、ゲーテ。

誰にどう言われようと
「いかなるときも
 口論は禁物
 バカと争うと
 バカを見る」
と相手にしなかったあなたを、わたしは尊敬します。
現代社会もしかり、です。