大正琴の普及に特に貢献した先人に、吉岡錦正さん(明治44年~昭和57年)、鈴木琴城さん(大正3年~昭和62年)、古賀政男さん(明治37年~昭和53年)の3人が挙げられます。
吉岡さんは6才から大正琴(3弦)を始め、14才の頃に7弦、15才の頃に9弦、16才の頃には12弦の大正琴を創作し、「錦正琴(きんしょうこと)」と名づけ色々な奏法にチャレンジしてきたようです。またあらゆる場所で演奏活動をし、約60点ものレコードを発売しました。
鈴木さんは、大正琴に教室制度を導入し、一般民への普及に力を注ぎました。大正琴のみのアンサンブル演奏のために、音域別(ソプラノ、アルト、テナー、ベース)の大正琴、またエレキ大正琴を開発されたようです。
古賀さんは、作曲家でもあったので、自作の曲を大正琴で演奏しレコード化することで、大衆へとそのサウンドを広めました。また音域やデザインにこだわった「Koga Tone」と名付けた大正琴の製作・販売に取り組みました。
さて、本題の9弦大正琴の弾き方ですが、これといった教則本もなく、「弾き方は演奏者に任せる」という上級者向けのもののようです。
楽器は、ナルダン社とコムニクス社製のものがあり、両社とも現在は販売していないようですが、ネット検索するとナルダン社製品を見つけることができます。
(ちなみに、9弦専用の弦セットは、まだ販売されています。http://nardan.co.jp/34.html )
そして、調律の仕方も載っています。
また、短い動画がひとつだけ紹介されています。
・・・う~ん、これだけでは、やはり上級者しか演奏できなそうですね。
そこで、私が独自のチューニングを考え出して、一般的な曲を簡易3コードで、ソロ演奏できるようにしました。
弦は専用弦をそのまま使えますが、伴奏弦にある可動性ナットの位置をずらす必要があります。
(第8、9弦用ナットの位置)*この写真の楽器は中古で買ったものですが、前に使用していた方が色々改良していたようで、移動式ナットの代わりに、通常のナット(下駒)を設置しています。
(第6、7弦用ナットの位置)
(第1、2弦用のナットの位置)
・・・これらの可動式ナットの位置は、あまり厳密なものではなく、大体このあたりに置くと、3コード用の調律と合う、程度のものです。
上記の図にあるように、Cコードを弾く時は、メロディー弦(第3、4、5弦)と同時に、<オクターブC音に調律した第8、9弦>と<オクターブG音に調律した第6、7弦>を弾きます。
Gコードを弾く時は、メロディー弦(第3、4、5弦)と同時に、<オクターブG音に調律した第6、7弦>を弾きます。
Fコードを弾く時は、メロディー弦(第3、4、5弦)と同時に、<オクターブF音に調律した第1、2弦>を弾きます。
他にG7コードも演奏可能で、その際は、メロディー弦(第3、4、5弦)と同時に、<オクターブG音に調律した第6、7弦>と<オクターブF音に調律した第1、2弦>を弾きます。
・・・コードと言っても、基本ルート音を足しただけですが、これでC調(ハ長調)の3コードの曲は弾くことができます。
2曲演奏したので、是非聞いてみてください。
こちらは中音域のメロディーで、2番からトレモロ奏法も使っています。
言葉が古いですが、素敵な歌詞なので載せておきます。
1.主イェスの御そばに 隠れ家あり
罪もいざないも 知ることなし
*あがない主よ われをそこに
かくまいたまえ み恵みもて
2.主イェスの御もとに 休み場あり
荷を解き下ろして 憩いを得よ
*(繰り返し)
3.主イェスの御もとに 慰めあり
憂いも悩みも 消え去るべし
*(繰り返し)
4.主イェスは医者なり その御手もて
いかなる傷をも 癒したまわん
*(繰り返し)
・・・自分は4番の歌詞のところで、いつも涙が出てしまいます・・・。
こちらは高音域のメロディーです。G7コードを一箇所使っています。
このナルダンの九弦琴「澄み音」は、総桐でとてもいい音がしますね。
また別の曲や、別の調律などの演奏法ができたら、動画UPする予定です。
伴奏音源不要で、ぼっちでも楽しめる、9弦大正琴による簡易3コードソロ演奏、どうぞ、みなさんもチャレンジしてみてください。
(楽器は、ヤフオクなどに時々出品されているので、まだ入手可能です。)