「こういう色はもう、今はないですよ」

 

そのお店を切り盛りしているのは、30代前半くらいの、

いなせな感じの男性でした。

若干ふっかけられた感がありましたけど、結局買ってしまった。

 

迷いに迷って購入した、アンティークの帯。

 

 

先日京都へ行った際、東寺の骨董市に行きました。

日の出から始まると聞いたので、朝7時入り。

お店はまだまばらだったので

 

のんびり散策しました。

 

私はグラフィックを長くやっていますが、

布を使ったバックなどのデザインも手がけます。

この日は、展示会に着物や帯を使ったバックを出したいなと思って

材料になる帯を探しに、骨董市に足を運んだのでした。

 

昭和初期の綸子と言われました。しかも全通(表裏とも柄があるもの)です。
梅の輪郭が銀色に縁取られた、うっとりするブロンズカラー。

 

新古品なのでしょうか

折りジワ、締め跡など全くない綺麗な状態の帯です。

 

骨董市というシチュエーションを考えると、少々まわりの品よりお高い。

なにより予算オーバーだったので、迷いに迷い

 

1時間くらい、その場を離れてウロウロ考えていました。

 

結局のところ、「こんなに迷うんだったら、買っといた方がいいな」

と思って店に引き返して購入したのですが

 

ほんとうに、買って良かったです。

 

この帯は見えるところに吊るして、毎朝眺めてるのですけど

 

見ているだけで、静かに心がアガっていきます。

 

ものの価値は値段で測れませんね。
確かに、かなり珍しい色合いです。

よそでは、もう巡り合えない。

 

かえって安かったくらいだったなと思っています。良い買い物をしました。

 

・・・

 

『良い買い物』をした

そう思えるのはどういう時でしょうか。

 

ふだんより安く買えた

それはラッキーと思っても、その場だけで

案外記憶に残らないんじゃないでしょうか。

もっと安く お買い得なものを目にしたら、かき消えてしまう。

 

良い買い物 とは

 

自分の価値観に沿ったもの

よそでは買えないもの

目に見えないバリューが沢山つまったものではないかな、と思います。

値段ではなくて

 

後々、心の栄養になるようなもの。


 

 

 

自分がクライアントに提供するものも、そうありたいですね。