浅田圭的術

浅田圭的術

漫画家浅田圭の雑感です。

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 突然ですが皆様にご報告があります。

 

 2002年の第1回より20年間連載を続けてきた「感じる人妻」ですが、本日10月31日発売946話をもちまして最終回となりました。

 

 俺、病気になりまして、この先治療に専念する為、編集部には我儘を飲んでいただきました。年齢的なこともあり前々からそろそろ休業、引退もありだなとは思っていて、ここでも書いた事があるはずです。ですが漫画家になって40年余り、なんとか仕事が途切れないよう、って気を張ってやってきた身としては自分から辞めるというのがなかなか決断できなくて。でまあズルズルと続けてきましたが、体がこうなると即断出来ましたよ。40年余りの漫画業、30年余の原作業、共に引退します。

 

 

 今、感じている事は「もうネームを作らなくていいんだなぁ」という事です。ネームと言うのはストーリーで、それを作り16ページの原稿用紙に描きこむ。これがないと漫画はどうにも進めようがないんです。ですが毎度毎度、これが難物でしてね。作家によっては担当者と話し合って作る、なんて人もいるようですが、俺はそういうことは出来ないたちでして。担当者が代わるとたまに「こういうの描いたらどうでしょう?」なんて言われたりもしましたが採用した事がない。だから相手もそれがわかって、全部お任せになる。なぜそうなるかというと、自分がピンとこないと話は作れないからです。毎週ウンウン唸ってそれでも出来ず「もう日が変わる、今日中に作らないとヤバい~~っ」って頃になると、不思議とスッといいアイデアが浮かぶ。これを40年やってきたんです。ネーム作りにヘトヘトになってなんとか作りあげ「ああ~っ、やっと終わった」って思ったところから16ページの漫画描きが始まるんですが。

 

 1から10まで自分で作る。だから褒められるのも責められるのも全部自分ひとり。きつくもありやり甲斐もある仕事でした。

 

 今はネットとかに色んな発表媒体があるようですが、俺の時代は漫画家と言えば雑誌に載せて貰うしか生きていく方法がなかったんです。だから1、2作ヒットを出しても、その後調子が落ちると雑誌に載せて貰えなくなり、30代……早い人は20代のうちに漫画家を諦めざる得なかった。俺自身も「いつまで出来るかなぁ……」との思いを常に抱いてやってきました。それが思いがけなく70歳近くになるこの時まで現役でいられたというのは、本当に幸せな漫画家生活だったと思います。

 

「感じる人妻」に関しては皆さまからのアンケートでの熱い支持があったればこその20年でした。ありがとうございます。

 

 尚、新作は今週で終わりますが「感じる人妻」の方は代わりの連載が決まるまで、当分の間、週刊大衆で過去の傑作選という形で連載は当分続くようです。いつまで続くか分かりませんが、楽しんで頂けたら幸いです。

 

 では。

 

 

 

 

 

 俺はテレビは競馬中継とサッカー日本代表戦くらいしか見ない生活をほぼ20年やっているので、今のタレントはほとんど知りません。芸人でも上手な人はいるんでしょうが、見ない事には知りようがない。ただラジオはたまに聞くので、ナイツがやっている番組冒頭で、毎週やっているショートの漫才を聞いて、ナイツってのは上手いって聞いてたけど噂にたがわぬ実力だなぁ、と思っていました。今時、二人そろってスーツにネクタイでやる正統派っていうのもね。見てくれの奇抜さに頼らない自信の程が伺えます。

 

 今はナイツ塙のyoutubeをたまに見ています。淡々としつつもジワジワ笑える。漫才同様に落ち付いた味わいがなんともいいですね。

 

 そんな塙についてですが、以前ラジオで相方の土屋が話していた事で印象的だったことがあります。彼らはMー1の決勝に3回進んだことがあるんですが、その1回目の話ですかね、

 

「Mー1の決勝で負けた翌日、決まっていた仕事場に行くと塙さんが昨夜作ったと言って3本、ネタを持ってきた。あれにはビックリしたなぁ。僕なんかガックリして、なんにもする気起きなかったのに」

 

 ……と、言ってたんです。

 

 これってホントに凄い話ですよね。Mー1優勝の称号と1000万円の賞金がスルリと抜け、勝者を目の前で見た……。ほとんどの人が土屋と同じに状態になると思いますよぉ。むしろ口惜しさの余り眠れなかった、なんてのが大半じゃないですかぁ。

 

 でも塙としては、口惜しさはあるけど、明日の舞台でお客に見せるネタは作らなきゃ、ってとこなんでしょう。長くひとつ事を続けていくプロのガッツであり、これが覚悟なんでしょうね。大したものですよ。

 

 どんな世界にも凄い人がいるものです。

 

 

 

 俺が過去に描いた作品をチョコチョコ電子図書で出して頂いているんですが、この7月からギャンブル短編集が新たに加わっています。

 

 競馬(うま)で喰う奴1~3

 

 これは90年代から2002年一杯までに漫画アクション、漫画サンデー、アクションピザッツ等に描いた作品群です。なぜ2002年までと言い切れるかといいますと、この年の暮れから「感じる人妻」の連載が始まって、他の作品を描く余裕がなくなったからです。感じる人妻だけで週に5日。あの時分はそれ以外に原作の方も多数書いていましたからね。連載が始まった当初は週刊誌の漫画って1,2年で変わるのが普通だから、これもそれ位で終わってまた色々な作品を描くようになるだろうと思っていたのですが、大変有難い事に好評いただいて連載丸20年。こういった他の作品を描く事がなくなったんですね。ただし、感じる人妻でも年に1回か2回、競馬をネタにしたエピソードを描くんですが、毎回いい反応を頂いているんですよ。

 

 作者としては世間から忘れ去られていた作品がこうして皆さんの目に触れる機会を得る事は大変嬉しい事です。内容はいずれも読み切りで、競馬物が大半、後半には麻雀や競艇物も含まれています。

 

 どの作品もその時その時、必死に考えて精魂込めて描き上げた作品ばかりです。そういうジャンルに興味がある方でしたら絶対に楽しんで頂ける物と信じています。各サイトで試し読みだけでもしていただけたらと思います。

 

 1巻220円。決して高くはないと思いますよぉ~~。

 

 

 

 つい先日、元プロレスラーアントニオ猪木氏の死去について書いたばかりですが、今度は漫画界の先輩、かざま鋭二さんの死去が伝えられました。享年75。

 

 俺は直接お会いした事はないんですが、元担当だった編集さんが、公私ともに仲良くしてる方で、先生のエピソードはよく聞いていました。漫画家歴も長く代表作「風の大地」で漫画賞を受賞され、今も週刊大衆他で現役で描き続けられていた尊敬すべき大家ですよね。

 

 そんな方が、同じ週刊大衆に描いている俺の「感じる人妻」を大変気に入って頂いて、その心情をもろに込めた「拝啓!浅田圭先生!!」というエピソードを発表された。その顛末はこの回に書いています。

 

 拝啓!かざま鋭二先生!

 

 あんな大先輩からそんな事をして頂くなんて、俺からすると大感激でしたよ。漫画家が一篇、丸々それだけで描くってよっぽどの事ですからね。

 

 出来る事なら一度お会いして、感謝の弁を述べさせて頂きたかったんですが、それもかないませんでした。残念です。

 

 先生、ありがとうございました。ご冥福をお祈り致します。

 

 

 

 今月1日、元プロレスラー、及び元参議院議員アントニオ猪木氏の死去が伝えられました。享年79。

 

 このブログでも10年以上前から幾度も取り上げているように、俺はプロレスラーアントニオ猪木の熱狂的なファンでして。ライブに関して、どんなジャンルのどんなスターよりも猪木の試合を一番見たんですよ。行き出したのは大学時代からですから、俺の年齢としてはそんなに古手のファンではないんですけど。

 

 猪木の試合を見る為に色んな会場に行きましたよ。後楽園ホール、蔵前国技館!、両国国技館、田園コロシアム、武道館、旧東京都体育館、東京ドーム、有明コロシアムはまだ屋根がなかった頃でした。後楽園ホールなんか10回じゃきかないだろうし、両方の国技館も結構通いましたよ。

 

 その全ての回で猪木は期待に応えるファイトを見せてくれたんです。

 

 レスラーとしての猪木は190センチ弱の長身に長い手足。この長い手足がコブラツイスト等のストレッチ技に物凄く説得力を与えてくれたんです。何よりレスラーとして見栄えもいいし。その上、柔らかな身体と豊富なスタミナ。周囲の誰もが認める練習熱心さから来る技の切れ。その上にファンの気持ちを裏切ったり満たしたり、手のひらで転がす勘の良さ。しかも凄みと共に男の色気を感じさせる華のある風貌。敵を見据える眼光の鋭さとファンを煽る仕草のカッコよさ。敵地に行っても動じない気の強さも持ってるし……ホント、4拍子も5拍子も揃った人で、同時代の他のレスラーからしたらたまらんなぁ、って存在だったでしょう。「これとこれは猪木さんに引けを取らないと思う。でもあれとあれはどう贔屓目に見てもあの人に勝てない」って感じで。

 

 猪木と言えば馬場ですが、興行戦争真っ盛りで猪木が散々馬場を挑発していた時代。馬場も周囲には相当猪木に対する不快感を述べていたようですが、一たび、レスラー猪木の評価を問われると「皆さんご存知の通り、素晴らしいレスラーですよ」と言ってたようです。これは馬場が特別心が広いというより、あれだけの試合されたら同じレスラーとして貶すことは出来ないって事でしょうね。まあ馬場からしたら、トップでなきゃ気が済まない猪木のあの性格さえ違ってたら、仲いいパートナーでやれたのに……ってとこだったんでしょう。でもその性格あっての猪木ですからね。

 

 近年の闘病の姿は彼のyoutubeで見ていたし、つい先日の24時間テレビの出演シーンも写真では確認していたので、いずれは……とは思っていました。あんなに逞しかった猪木があんなに瘦せ衰えて……見てて辛かったですよ。

 

 本当に長い間、楽しませて頂きました。ありがとうございます。ゆっくりとお休みください。