そして3冊目の最後には「力いっぱいの日記をありがとう。あなたがどんな夏休みを過ごしたのかがよくわかりました。とても楽しく読ませてもらいました。また見せてくださいね」と書かれてあった。私は感動してノートを胸に抱きしめた。毎日書く材料で苦しんで、「もうこの辺でやめにしようか」と何度もへこたれそうになっていただけに褒めていただいて本当に嬉しかった。書き続けてよかったと心の底から思った。こんなこともあった。一年生の持久走大会で4位だったので翌年は順位をあげようと一年間朝5時半に起きてトレーニングをした。その甲斐もなく5位だった時のこと。「誰も努力をせずに一番にはなれません。


一番の〇〇さんはお兄ちゃんお姉ちゃんと毎日走っていました。あなたの5番も練習の結果なので順位に関係なく素晴らしい。」スポーツをすると記録、写真、賞状は残るけれど努力し続けている時の気持ちや達成した時の喜び、反対に果たせなかった時の挫折感は次第に薄れていく。その証拠に忘れた頃に過去の日記や作文を目にしてこんな気持ちでいたのかとハッとさせられることがある。それが書くことの醍醐味だ。日記から始まった私の挑戦は先生から鋭い意見のボールを受け取ったことにより作文へと変遷を遂げていった。私が書いてそれを『ガシッと』と受け止めて思考を促す強いボールを投げ返してくださった先生に今改めて感謝したい。中学生になった私は


水泳、陸上を何とか両立させるために悪戦苦闘している。そして疲れきった時、自分に問いかけてみる。「スポーツを楽しんでいますか。何を感じ学びましたか。そしてそれを忘れないうちに文章にして記憶の宝箱に入れていますか」と


審査員講評


よほど書く事に親しんできたのでしょう。素直でこなれた文章はとても中学1年生のものと思えません。見事な文章力は非常に心のこもったコメントを返してくれた小1の担任の先生のおかげだったのですね。