以下は中日スポーツから↓

◇16日 巨人7―1中日(東京ドーム)

 かすかに見えていた勝機の芽を、摘み取られた1球がある。6回。板山のソロで1点差に迫り、なお1死から岡林が遊撃内野安打で塁に出た。2死後、二盗を試みる。根拠はあった。川越はストレートを3球続けて追い込まれており、フォークで三振を取りにくる。その読みは的中した。しかもワンバウンド。後逸すれば一気に三塁進塁もあり得る難しい球を、捕手の岸田は引くのではなく前に出て捕った。往年のヤクルト・古田をほうふつさせるノーバウンド送球。岡林は刺され、裏に決定的な3点を追加された。

 「あれで流れが変わったなと思った。スーパープレーだった」。同じ捕手だった阿部監督が絶賛した1球。岸田も「走ったのは見えたから、勝負を懸けてやろうと思った。あそこで刺せたので、流れをもってこられたかな」と自賛した。

 菅野には小林(先発34試合)、戸郷は大城卓(同29)と投手との相性を考慮して3人が併用されてきたが、岸田は最も多い68試合の先発マスクをかぶっている。中日も木下(56試合)を筆頭に、加藤匠(36)、宇佐見(34)の3人を中心に戦ってきた。捕手併用は球界の主流になりつつあるが、その中心となっている岸田が12球団トップの盗塁阻止率5割(許盗塁、刺盗塁19ずつ)なのは頼もしい。

 刺された岡林も4、9回の安打を合わせた猛打賞で、3年連続の100安打をクリアした。「遅すぎです」とは言ったが、前半の苦しみもまた収穫としてほしい。

 「こういう経験を来年に生かしたい。何がダメで、何が良かったのかを反省して。きょうの盗塁もそう。スタートは悪くなかったし、ワンバウンドになったのも見えた。でも、突き詰めればセーフにできるポイントは見つけられる」

 ちなみに強肩の岸田から、今季は福永(2)、村松で3盗塁を決めている。機動力アップはチーム再建に欠かせない。岸田に負けないスピードは、来季への宿題となった。