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巨人は28日、ヤクルト19回戦(神宮)に3-2で勝利。首位の広島も勝ったため7月31日以来の首位浮上はお預けとなったが、4連勝で貯金を今季最多の13とした。2年目の浅野翔吾外野手(19)が三回、8月に3本塁打目となる先制の3号2ランを放ち、勝利に貢献。「先制、同点、勝ち越し、逆転、サヨナラ」を指す殊勲弾を10代で月間3本放ったのは、球団では1994年の松井秀喜以来、30年ぶりとなった。

身長171センチ。体が大きくなくても長距離砲に引けを取らない、滞空時間の長い一発だった。19歳の浅野が三回、サイスニードのスプリットを思い切りよく引っ張り、3号先制2ラン。打った瞬間に本塁打を確信し、左手で天高くバットを突き上げた。

「完璧でした。何とかチャンスをものにしたい気持ちでした」

27日のヤクルト戦では六回2死一、三塁の好機で前を打つ丸が歩かされた後に遊ゴロ。「丸さんが目の前で敬遠されて、抑えられて悔しい思いがあった」と苦い経験を力に変え、3試合ぶりの一発をたたき込んだ。「先制、同点、勝ち越し、逆転、サヨナラ」を指す殊勲弾は今月3本目。「球団の10代選手が月間3本の殊勲弾」を放つのは1994年の松井秀喜以来、30年ぶりだ。

阿部監督から与えられた課題を克服して、今がある。2年目の今季は開幕1軍入りを果たしたものの、4月8日に2軍落ち。指揮官から「変化球を待ってみよう。練習が必要」と宿題を課され、夕食後に室内練習場で毎日1時間の打ち込みを行った。この日落ちる球を捉えたように、フォークボールが結果球の場合は6打数3安打、スライダーでは4打数3安打。変化球に強い男になり、離脱したヘルナンデスに代わって今月12日に昇格してから、打率・357と好調だ。

「優勝争いをしている時に使ってもらっている。できないじゃなくて、やらないといけない」

香川・高松商高時代に通算68本塁打を放った大砲候補は、米大リーグのアストロズで活躍するホセ・アルテューベが本塁打を量産する姿を動画で見て、目を奪われた。自身より3センチ小さい身長168センチで通算2203安打、同227本塁打を誇る強打者。「小さい体でも、あれだけ飛ばせることを学んだ。今度は、『浅野があれだけ飛ばせるなら自分もいける』という勇気や自信を与えられるようになりたい」。夏休み終盤で球場に駆け付けた野球少年に、夢と希望を与える大きな放物線を描いた。

首位の広島も勝利したため7月31日以来の首位奪回はお預け。それでも4連勝を飾り、貯金は今季最多の13となった。阿部監督は浅野について「大きなホームランだった」と目を細めた。

浅野は七回の打席で左足に自打球を当てて途中交代。27日には左前腕に投球を受けたが、つかんだチャンスを手放すつもりはない。「年が一番下なので、いつ(2軍に)落とされてもおかしくない状況だと思っている。落とされないように、優勝のために頑張ります」。謙虚さを忘れない19歳が、熾烈な優勝争いを繰り広げる阿部巨人に新しい風を吹かせた。(樋口航)