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巨人・浅野翔吾外野手(19)が14日の阪神21回戦(東京ドーム)の四回に放った劇的な1号満塁本塁打を見て、改めてこの選手は「持っているのではないか」との思いを強くした。

というのも、レギュラー選手の故障でもらったチャンスをしっかりモノにして階段を上っていくというのは「持っている」選手の一つの出世パターンだからだ。

そんな出世街道を歩んだ例で、真っ先に頭に浮かぶのが2008年の坂本勇人内野手だ。この年の坂本は正遊撃手だった二岡智宏内野手(現ヘッドコーチ)が開幕戦でけがをして、2戦目から遊撃で出場。すると見事に結果を残して、その後の「ショート・坂本」への第一歩を踏み出したのである。

同じようにレギュラーの故障からポジション奪取に成功した例では、1981年の篠塚和典内野手と89年の緒方耕一内野手もある。篠塚はこの年に東海大から原辰徳内野手が入団。三塁には中畑清内野手がいたため、原は二塁を守り、篠塚はベンチを温めることになった。しかし、5月に中畑が左肩靱帯(じんたい)損傷で戦線離脱。そこで二塁・篠塚、三塁・原という布陣が実現し、中畑は復帰後も一塁に回ることになったのである。

緒方も同じく中畑のけががきっかけだ。中畑がシーズン序盤に指の骨折で離脱し、岡崎郁内野手と駒田徳広内野手らを含む玉突きコンバートが実現。そこで抜擢(ばってき)されると外野のレギュラー枠に食い込み、人気選手へと成長していった。

後に「オレがけがしたら2人も若手が育ったんだから…。そんな選手はめったにいないぞ」と冗談交じりに中畑が語るのを聞いたことがあるが、踏み台となった中畑は入れ替わるように、89年限りで現役を引退。そうしてチームの世代交代が進んでいく、ということを実感した例でもあった。

さて、浅野である。エリエ・ヘルナンデス外野手の骨折というアクシデントからチャンスをもらい、そして放ったあの満塁本塁打だ。それだけでは評価はできないが、これでしばらくは先発出場のチャンスをつかんだはずである。浅野が本当に「持っている」のか、いないのか。それもまた巨人の優勝への、大きな鍵となりそうである。(スポーツジャーナリスト)