ヘルナンデス加入から、巨人打線爆発しましたね。


以下はスポーツ紙から↓

「君! いったいこんな人材どこで?」-。どこやらの人材提供サービス会社のCMのセリフが思わず頭に浮かぶ。5月13日に入団発表したばかりの巨人の新外国人選手、エリエ・ヘルナンデス外野手(29)が目を見張るような活躍で貧打線を覚醒した。単年契約で年俸5千万円(金額は推定)の〝格安助っ人〟は、同28日のソフトバンク戦(東京D)に「7番・右翼」でスタメン出場すると、そこから打つわ打つわ…。9試合で打率4割5厘、2本塁打、9打点(6月6日現在)の大活躍だ。

メジャーではさっぱり

救世主の出現とあって、阿部慎之助監督(45)も5日のロッテ戦(3-4=東京D)の試合後に「もうヘルナンデスをセンター、丸をライトで固定していきたい」と発言。「2番・中堅」ヘルナンデスを4年ぶりV奪回への起爆剤にする考えを明らかにした。

ヘルナンデスはドミニカ共和国出身。昨季はレンジャーズ傘下3Aラウンドロックでプレーし、137試合に出場。打率2割9分8厘、18本塁打、99打点を記録した。165安打はリーグ最多安打だったが、2011年のプロ入り以降、メジャーでは通算14試合に出場し、打率1割8分2厘、0本塁打、3打点。大リーグには縁のないマイナーリーガーだった。

ダメ元補強が奏功

巨人とすれば、ヘルナンデスの獲得は戦力編成面の失敗が続いた末の〝ダメ元補強〟と指摘されても仕方がない。今季は阿部監督の初陣となるシーズン。当初はメジャー通算178本塁打のルーグネッド・オドーア外野手を獲得して打線の中核に据える構想だった。ところが、オドーアはオープン戦での打撃不振で指揮官から開幕2軍を通達されると、「2軍は受けいれられない」と拒絶し、そのまま退団した。打線の弱体化に悩む中で、今度は前ジャイアンツ傘下3Aの筒香嘉智外野手が日本球界復帰を決断したと知るや、獲得に乗り出した。しかし、4月16日にDeNAが獲得を発表。かつての巨人は豊富な資金力とブランド力で争奪戦では圧倒的な力を発揮していたが、このところはフリーエージェント(FA)なども競り負ける場面が多い。

「黒歴史」に終止符か

今季は新監督の構想で、一塁に岡本、三塁に坂本を固定。昨季が3年契約の1年目だった中田は行き場をなくしたが、1年ごとに契約の見直しや破棄ができるオプトアウトの権利を行使して退団し、中日に移籍した。守備に難のあるウォーカーもトレードでソフトバンクに放出。守備重視の元捕手らしい発想でシーズンを迎えたが、打線の弱体化は顕著。補強もうまくいかず、得点力不足は深刻化していた。5月29日のソフトバンク戦(1-0=東京D)では延長十二回サヨナラ勝ちしながら、阿部監督は「どう打線に奮起を促したらいいのか。ちょっと教えていただきたいなとは思います。ほっとけばいいのか、昭和風に気合を入れたらいいのか…」と悩める胸中をあらわにしていた。それが、ヘルナンデスの出現で打線のつながりも改善。6月4日のロッテ戦(東京D)では、ともに今季最多の23安打18得点。三回には9連打という記録的な攻撃を見せた。〝ヘルナンデス効果〟だろう。

20年以降、巨人の新外国人選手の補強は現役大リーガー重視だった。パーラ、テームズ、スモーク、ポランコ(現ロッテ)、ブリンソン…。成功例は22年に24本塁打を放ったポランコぐらい。それでも守備力に難があり、わずか1年で解雇、ロッテに移籍した。

ヘルナンデスは巨人の「黒歴史」に終止符を打つのか。年俸5千万円の助っ人はセ・リーグの勢力分布図を大きく変える存在になるかもしれない。◇

【プロフィル】植村徹也(うえむら・てつや) サンケイスポーツ運動部記者として阪神を中心に取材。運動部長、編集局長、サンスポ代表補佐兼特別記者、産経新聞特別記者を経て特別客員記者。岡田彰布氏の15年ぶり阪神監督復帰をはじめ、阪神・野村克也監督招聘(しょうへい)、星野仙一監督招聘を連続スクープ。