休みの時は、
1人で美術館に行ったり、
僕が好きだった地域は
コベントガーデン付近やピムリコというテムズ川沿いの付近をよく彷徨い歩いた。
美術館で惹かれた画家はラファエロで、
絵画についてなどよくわからないものの、
ラファエロの描く人物の肌の質感や肌色に心を持っていかれてしまうのだった。
僕は美術館で作品などの説明がされた本を買って帰った。
家でそれを見ていると、
ファーザーガブリエルが横に座って、
本を覗き込んできた。
そして、ファーザーは、
その本にある宗教画をいろいろと説明し始めてくれた。
その内に、ファーザーの生徒たちが帰ってきて、
皆がいろいろとその絵の話をガヤガヤと話したり、
冗談を言ってたり (笑っていたから、
僕には話がわからなかった)楽しく時間を過ごした。
その日はその7人のプリストと
同じ家に住むことになった夜、僕は夢を見た。
不思議な夢だ。。。
僕は森の道を歩いている。
しばらく、歩いていると道の右側に男の人がしゃがんで座っているのが見えた。
暗くてよく見えにくいと思い、目を凝らすと、
その男の人は、上半身ほぼ裸でぼろきれを纏っていた。
驚いたことに、身体中が深い青色をしていた。
頭には布を巻きつけ片側の耳のところに余った分を垂れ下げている。
額がどんよりとしたオレンジに光っている。
遠目には痩せて細い人に見えたが、
近寄るとしっかりした身体をしていて痩せてはいないように見えた。
ぼくは、なぜ、
ペンキを塗りたくっているのか不思議で、
その人に歩み寄り尋ねようとしたら
その人が言った。
「大丈夫。楽に、楽に前に進みなさい。
心配せずに、楽に。急いではいけない。」
ぼくはゆっくり散歩をしていただけで、答えた。
「ぼくは急いでません。
ゆっくり歩いています。
散歩をしているだけなんで。
それより、どうしてあなたは、」
と語りかけの途中で、その人はパッと消えた。
消えたのだけど、
どっちに行ったかがわかるのだ。
だからいる場所に追いかけて行った。
近づくと、また移動してしまう。
3、4回それが続いた後、
突然半端ないくらい広い大きな道に出くわす。
草原に巨大な道が右側から点で始まり左側を見ると点となるまで続く一本道である。
ぼくは再び右側を見た。
すると、2人の人影が見えてきた。
2人で大きめな籠を片手をそれぞれが使いいっしに持ち歩いてくる。
速い、アッという間に目の前まで来ると
僕が見えてないように通過していった。
不思議なことに目の前を通過する時は、
まるでストップモーションのようにゆっくりと見えた。
2人の女性は、
今でもその顔が焼きついているが、
柔和な表情で笑みを浮かべ、
歌を歌いながら歩いているのだった。
歩いているというより、
地面より少し上を飛んでいるようにも感じた。
その美しさに釘付けとなり、
言葉も出せず、
その2人が見えなくなるまで見ていた。
見えなくなると、目が覚めた。
身体が軽く、爽快な気分で、
それまで蓄積していた疲れやイライラが一切無くなっていて、
優しい気持ちでいる自分に気づいた。
なんか…変な夢だな。。
その時、変な夢だなくらいな気持ちだったのだが、
この夢を見てから様々な状況が変化していったのだった。
その夢から2週間くらいして、2ndステージが終わった。
最終日、ステージ終了に際し、
ベストスチューデントの発表となって、
半分興味も無かったのだが、
まあ今回は誰なんだくらいでいた。
アン・マリは、僕の名前を読み上げた。
「えっ？今、俺の名前を言った気がするが、あれ？発音の聞き間違いか？」
と困惑していたら、クラスメイトの男子が
「ヘイ、ユ！コングラチュレーション！」
と言って、ステージの方に僕を押しやった。
ステージで、僕は言葉も出ず、やっとの思いで
「サンキュー、ベリーマッチ、アンマリー！
アンド、サンキューベリーマッチ、エブリィワン！」
となんとも、貧弱な挨拶をしてしまった。
しかし、これは驚きで、家に帰って自分のベッドに顔を埋めて布団をかぶり
「やっちまったぞー！取っちまった、2ndの天辺を！」
と大声を出したのを覚えている。
大声が聞こえたのか、ネネが下から
「どうしたの？アサ！大丈夫かい？アサ？」
と叫んでいた。
僕はネネに何があったかを知らせに階段を走り降りていった。
BEAUTY LABO A.S.S.A
