こちらはBLの妄想小説になります。
苦手な方は御遠慮ください。
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お互い程よく酔った頃、どちらともなくいつものようにベッドルームになだれ込んだ。
うつ伏せにされた俺の背に、それでも自重を支えながら程よい圧迫感だけを乗せて覆い被さる潤が、俺のいいところを執拗に攻める。
「ね…ここだよね、翔くんが好きなとこ」
「っ……んッ」
「声、聴かせてよ」
潤は俺の声を聴きたがる。
俺だって潤の要求ならできればきいてやりたいけど、プライドが邪魔をしてずっと拒んできた。
今回もやっぱり無理だ、と頭の中も喉も完全に拒絶反応を示していた。
「…翔くん、さっき言ったよね」
「……?」
ゆっくりと奥を掻き混ぜるような緩やかな律動を繰り返しながら、潤が声を低くして耳元で囁く。
耳と中で潤を感じて全身が溶けてしまいそうだ。
「傷つけられてもいいって…。ね…強くしていい?」
「…は…?」
「翔くんの、声が聴きたいから…痛かったらごめん」
「…っん、あッ」
そのまま耳を甘噛みされて軽い痛みを感じると同時に、濡れた舌にゆっくり舐め上げられた。
「あ、ああ…ッ!」
次の瞬間、俺の肩を捕まえる潤の手に力が込められ、突然腹の奥に今まで感じたことのない強さで熱い屹立を打ちつけられた。その圧迫感に抑えきれなかった声が喉から洩れ出た。
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「あぁっ、あ、ッ…んんッ」
「いい声」
肩口に唇を押し当てたまま嬉しそうに潤が言う。
「ね、…もっと、聴かせて」
「んあ、っ…!あ、アッ…!」
俺の身体がおかしくなったのか潤の質量が増したのか、苦しいくらいに中を何度も深く激しく抉られて、その度訳の分からない、強い快感が押し寄せ喉の奥からは聞いたことのない声が溢れた。
「や、ぁ…じゅ、ん…、あ、アッ…!」
潤が腰を煽る度に擦られる内側がもたらす熱と快楽に意識が飛びそうになる。
堪らなくなって口を塞ごうを伸ばした手を潤に掴まれた。
「ダメだよ」
そのまま仰向けに体勢を変えられて、天井を見上げる視界の中の潤と目が合った。
前髪から滴る汗、綺麗な顔が官能的に歪んだ。
「声、出して、…ねえ、俺の、名前呼んで」
ゆるゆると小さく揺さぶられ、さっきまでの激しさを求める身体が俺の意思を無視してもっともっとと欲しがった。はしたなく内側がヒクつくのが自分でもわかった。
それに気づいたのかどうか、潤が妖しく微笑んだ。
「ね、どうして欲しい…?言ってよ、ほら…言わないと、分かんない」
「ん…、無理…ッ、」
浅い位置を行き来する感覚がもどかしくて堪らない。
これじゃ、足りない…もっと…もっと思考が回らなくなるくらいの刺激が欲しい。
「激しくないとダメなら、してあげる、から…俺のせいにしていいから」
懇願のような切ない声色に堪らなくなって無意識に腰が揺れた。
それをどう受け取ったのか、潤が唇の端を少し上げて。
「翔くんエロ過ぎ」
「……潤…んッ…!あ、あ、」
抱え込まれた膝ごと強く抱きしめられたまま、再び激しく中を貫かれた。
何度も、何度も。
暴力に感じるほどの深さと壊れるくらいの快感に、靄が掛かったように何も考えられなくなる。
「ああッ…もっ、潤…じゅん…!あ、ア…っ、あ、あッ」
最後の方はもうほとんど自分が何を言ったのか、言っていないのかも覚えていない。
もっと、とか、イイ、とか。
AVみたいなことを言ってしまったような気もするし、だとしたら思い出したくもない。
ただ破壊された意識の中で、潤から与えれる快楽に貪欲に溺れる感覚が無性に気持ちよかったことだけは覚えている。
奥の奥からこみ上げてくる衝動に任せて欲望をぶちまけたところで、完全に意識が飛んだ。
***side 潤
「…翔くんって実はマゾでしょ」
翔くんが、ブハッと飲んでいた水を吐き出した。
ついさっき目を覚ましたばかりの彼がびっくりするほど枯れた声で「それちょうだい」と言ってきたから、俺は慌てて自分が飲んでいたミネラルウォーターを手渡した。
それを美味そうに一気飲みする翔くんのほとんど目立たない喉ぼとけが上下するその首元に、さっき俺がつけたキスマークがくっきり浮かんでいる。それを見ていたら思わずさっきの言葉が出てしまった。
「いきなりなんだよ…」
口を拭いながら翔くんが俺を睨む。
「だってさっきめちゃくちゃ感じてたじゃん。すっげえエロかった」
ベッドに横たわったままの翔くんのすぐ横に腰を下ろしながら言えば、また大げさにむせた。
そう。
さっきの翔くんはいつも以上に、何て言うか…堪んなかった。
傷つけられてもいいなんて言うから。
俺も自制が利かなくなった。
そもそもあんな発言を迂闊にする時点で彼は生得マゾヒストなんだと思う。
危なっかしくて仕方ないけど、それが俺にだけ発動するというのならまあそこまでの心配はいらなそうだとも思う。
「まあ薄々気付いてはいたけど」
「何が?」
「翔くんにそういう性癖があるってこと。あれ、もしかして自覚ない?俺が強引にすると感度よくなるの」
「…は?」
「ほら、その首のとこも。ちょっと強く吸ったらすっごい締まってたよ。俺のちぎれんじゃないかってくらい」
少々不機嫌そうではあったけど、寝起きでぽやっとしていた翔くんの顔がみるみる赤くなっていく。
ああ、マジで可愛い。
「でも…あんな激しいのは初めてだったかもね。ごめん、どうしても声が聴きたくて」
「…おまっ…俺はっ、違えわ!マゾとかそんなんじゃ」
「じゃあ何なの?」
どう考えたって言い訳なんてできないのに。
いつも頭の回転が速いこの人だけど、ちょっと弱そうなところをつつくと割とすぐボロが出る。
じっと見つめていると、何度か言葉を飲み込んだ後に暫くして翔くんがボソボソ喋りだした。
「俺は…ただ、お前が俺に真っ直ぐなのが居心地良いっていうか…それだけ、だよ。痛くされるのが好きなのは、別にマゾだからとかそんなんじゃねえし」
「…へえ」
そこ、認めちゃうんだ。
やばい、顔がニヤケそう。
「お前がそれだけ俺に一生懸命だったら、それに応えてやる理由になるっていうか」
「…つまり痛くされると遠慮なく声も出せるってこと?」
「なんでそうなるんだよ!」
翔くんが相変わらず真っ赤な顔で怒ってくるけど、全く怖くないし。
「…おい、なんでニヤニヤしてんだよ」
今度は冷たい眼差しで見てきた。
本当翔くんって飽きない。
勝手に一人で喋るし、表情もクルクル変わるし。
だけど俺がニヤニヤしてたのは、これはどうしたって不可抗力だ。
だって俺は嬉しいんだから。
理由がうんたらとか居心地がとか回りくどい言い方してるけど、翔くんがそれだけあれこれ考えるくらいには、俺のことを想ってくれてるってことだから。
だから俺は嬉しくて。
「…翔くん」
正面から見つめると、バツが悪そうに大きな瞳を揺らして、それでもゆっくり俺を見つめ返してくれた。
「…なんだよ?」
「これからもよろしくね」
もしかしたら、翔くんは不安なのかもしれない。
俺以上に色んな事を考え込んでしまう人だから、きっとこの関係にも何か思うところがあるのかもしれない。
俺がこの気持ちを伝えることで、少しでも彼の不安が取り除けるなら、それを居心地良いと言ってくれるのなら。
ぶっきらぼうで恥ずかしがりやなこの人に、少しでも多く俺の気持ちが届きますように。
あなたが口に出せない分まで、俺が言葉で伝えるから。
「大好きだよ」
そう言ってその頬にそっと手を触れる。
何でもできて、格好良くて。ずっと俺の憧れで。だけど狡くて臆病な翔くん。
全部俺のせいにしていいよ。
あなたが俺を想ってくれるなら、俺はいくらでもあなたの言い訳になるから。
口を真一文字に結んでいた翔くんが眉を八の字にして、仕方ないなというように笑った。
end.