#20 AS2 Sai×Ogawa.Y -Exhibition- by 原 麻由美
時期を逸してしまいましたが、
前回#20 AS2の記録写真が出来上がりました。
撮影は、AS2専属写真家近藤泰岳氏によります。
今回のSai×Ogawa.Yによる、
空間照明デザインを施したエンボス作品の世界観です。
平面につけた凸凹が所謂エンボスの表現であり、
それは陰翳でもって形而上に存在します。
テーマは素と密。
光の塊りと、光のばらつきと、
陰の塊りと、陰のばらつきと、
二人の解釈はもともと真逆だったことも
最終的なインスタレーションにどう表現されたのか。
記録写真により振り返っていただければと思います。
あの世とか、この世とかあるとすれば、
どの世が本物か私たちには知る由もありません。
凸凹は表から触るか、裏から触るか、
表か裏か私たちには知る由もありません。
でもその感触が指先や触った部位から体験として残ることは確実なことで、
そこに微かな期待をもって人は認識ということをしているのだと思います。
それが心にぬくもりを与えるか、冷たさを残すか、
それも当人の心の在り処が大きく影響し、
受ける物自体よりも、受けさせるもの自体よりも、
受け皿自体に資質が問われるのだと事あるごとに認めざるを得ないのです。
だからもし、悲しいことがあったらそれは身の中にヒントがあり、
与えた側にヒントは決して見出せない。
憶測よりも実体験、実体験よりも身の本質、
感触に特化した展示で気付くことは多々あったように記憶しています。
良い展示でした。
良い展示=私にとっては数々のフラッシュバックを起こさせてくれる機会です。
幾事に出会ってもその際の受け皿の身をありのままにもって感じていたいものです。
それが、全ての基準になっていいんじゃないかと今強く思うからです。
by 原 麻由美