わたしは逃げた。傷つく事を恐れて。
そして、彼の手を離してしまった。突き放したわたしを、彼は悲しげな表情と怒りに似た表情をわたしに向けて立ち去った。

ハッと我に返り、彼の背中を追いかけようとした。必死に走った。
でも、呼吸が乱れて声にならない。
彼は振り向くことなく、群れの中へと姿を消した。

立ち尽くすことしかできないわたしに、冷ややかな眼差しの中から笑い声が聞こえた。高笑いか、とても苦しく不快だった。

わたしは、瞳を閉じた...

苦しい、、、

胸に手をあてて呼吸を整える。

いつしか、胸に当てていた手は力強く握られていた。
わたしは今、立っている。まだ、動けるんだ。

大きく深呼吸をして、瞳を開けた。
そして、最初の一歩を踏み出した。

その一歩を踏み出した時、新緑の風がそっと背中を押した.....