目の前にいる彼の背中は、私には遠すぎて

手を伸ばしても届かない。

追いつこうと走っても、

彼の隣に並んで歩くことは許されなくて

近づいたら離れていく。磁石が反撥するように。

気づけば、走る足は宙に浮いて

前に進めない。

ぬかるみに嵌ったかのように

前に進まず、ただただ下に落ちていく。

必死に手を伸ばしてもがくけれど

溺れた子供のようにその手をつかんでくれる手は無く。

暗い、暗いぬかるみの底に落ちていくだけ。