唐突に始まり尻切れトンボ。

  















すみません。  おさんぽ、終わったところなのに。

すこし歩いたところで少女は つぶやきをおとした。

 間を開けて 歩く 銀髪の初老の男性は何も言わない。

 少女も何も言わず ぼんやりと遠景を見つめている。

伊豆半島と思しき影を 彼女は何に喩えているのか。 

 空咳を一つ二つ。 

ポートマヒィアの 首領 森が 探偵社と協定を 結ぶ代わりにと 預けた彼女。

太宰の云うに拠ると  幹部候補の一人 と。

 齢は。 頑張っても10代後半なのだが。

昨日の遣り取りを聴く限り 可也の切れ者だ。 底が知れない。

 どれだけの過去をその身に背負うのか。

其れが 福沢には気になってしょうがなかった。

 

ひやり 弱い北風が 髪を浚った。 肩より上で切られた黒髪は 彼女の 拘りの無さを示して居る様で。

 帰るか

声にふらりと 体が揺れた。