秘密基地。そんな表現が似合う カフェ。
外から内装が見えないながら 光のさす店内。
カウンターが10席と テーブルが5席。
小ぢんまりとしてるけど なかなかいいんじゃない。
さすが。でもまあ星を付けるとしたら3つかな。おしいね。だってこういうところって、ドアにベルがついてんのが常識じゃない。アニメとか漫画とか。
まあ常識をくつがえすという点では評価に値するかもしれないし、現代の若者に叫ばれる 個性 突破力のなさ を考えれば いいのかもしれないね。そういうアブノーマルさは。だけどね 俺は嫌だなあ
ドアにベルがついている、開けたらチリリリンと心地よい音がする。
これはね カフェの一般性として よくとりあげられるよね なんでだと思う?
それだけありふれてるってことなんだ。それはつまり。つまりそれは、たくさんの人が それだけ好きってことだよね。うん。つまり。」
「…あの人、なに」
カウンター席。グラスを磨く店主の前に座り長々と意見を述べる、臨也に カウンターの奥端に座る少女が パソコンを開きながらつぶやく。
「ようやく?大体君はさ、常識とか知らないのかな?さっきから俺のこと無視し続けてるよね?情報屋の折原臨也、と言えば 一歩でもこっち側に踏み込んだ人間なら 敵に回さないほうがいいって知っているはずだよね。なんなの。高校生?俺は情報屋。なんだったら ロリコンとか 売春婦とか なんだったら矢理マンとか 妖女とか魔性の女とか そういう類のこと 流してもいいんだよ? そしたら君は困るよね。俺は人間が好きだ。愛してる。もちろん君のこともね。だから 君のこまった顔も、くるしむ顔も絶望にうちひしがれる顔も。俺にとっては何よりも幸せを与えてくれるものなんだ。この意味がわかるかい?いや、わからないだろうね。おれを無視するような君じゃあね。常識すらもかけている君じゃあね。せいぜい苦しむがいいよ。」
「・・・あ、私ですか」
「そうだよ。そこのメガネで背の低い以外に大して特徴もない女子高生。そう、きみだよ。俺は君の名前を知らないから仮に名前なし子ちゃんとでもしようか。真面目そうだしほんとうは敬称はさんのほうがいいのかもしれないね。けどね。俺はなし子ちゃんと呼ぶことにするよ。小さいしね。俺は人を見かけで判断するタイプでね?君、みたところ150もなさそうだしね。かわいいね笑ああ、かわいい。小動物みたいだよね。ハムスター。手乗り。うわ。想像したら結構いいかもしれない。こんなに挑発しているのに無表情でパソコンとか。観賞用にちょうどいいんじゃない?どれだけ耐えられるんだろうね。俺と君との耐久レース。あっはははははははははははは。いいねぇ。これは久々におもしろそうな人材と出会ったかもしれない。まあ坂見先輩の息がかかっているっていうのが非常に気に喰わないけどね。」
独り高らかに笑う青年。少女の顔を覗き込んでまた笑う。
「俺が食べてしまえばいい。俺が君を丸ごと愛してあげよう。」
「・・・なんであいつ告白してんの。」
「臨也さん、あの」
金髪の少年。正臣が 抗議を試みようと立ち上がるが。
向かいの青年,坂見が手で押さえる。
「誤った情報に踊らされる人の顔もいいですが。不可解なものが目の前に現れたときに恐怖をどうにか紛らわせようとする人間というのも聞いてて面白いものですね」
「へえ、それはつまり」
・・・。何さらっと本気になってるの。てか先輩って。まずどういう設定だ。