祖母の思い出の味 蒸し器でふっくらお赤飯

 

子どものころ、祝いごとがあるたびに炊かれていた赤飯

ふたを開けた瞬間に立ちのぼる湯気と、ほんのり甘く香ばしいもち米の香り……その光景は

いまでも鮮明に思い出せます

 

ご近所でも評判だった、料理上手な祖母

いわゆる「スープの冷めない距離」に叔父の家族と共に住んでいた祖母は、誰かの誕生日や記念日、お祝いごとのたびに、赤飯と太巻きをたくさん作ってくれました

 

男兄弟の従兄弟たちがいたので、子どもの日(端午の節句)には 空高く大きな鯉のぼりが舞い、食卓には たっぷりのお赤飯と太巻きとご馳走がずらり!今でもその賑やかな風景が目に浮かびます

 

高校生になって和菓子屋さんでアルバイトを始めたとき、「赤飯って売ってるんだ!」と

驚いたのも、今ではいい思い出

それまでは、赤飯とは各家庭で作るものだと思っていたのです(笑

 

祖母は、着物に割烹着、頭に布巾を巻いて、大きな四角いせいろを何度も入れ替えながら、丁寧に蒸してくれていました

母が一度、コツを聞いたことがあるそうですが、返ってきたのは「手加減」という言葉 __ 

何度もやらないと分からない、とのことでした

 

あの味には到底追いつけないけれど、あの味に少しでも近づけたくて・・・

何度も挑戦しています

 

蒸し器で作るお赤飯は もち米の風味を活かし、ふっくらと仕上がる伝統的な方法です

私は 手軽にせいろと布巾で、昔ながらのスタイルで作っています

 

    

 私流・蒸し器でつくるふっくら赤飯

【材料】(4人分)

もち米 … 2.5合

小豆 … 60g

水 … 400ml(小豆の煮用)


 ⚪︎ 茹で汁(濃いめ) … 60ml
 ⚪︎ 酒 … 大さじ1
 ⚪︎ 塩 … 大さじ1/2
 ⚪︎ 米の浸水後の水 … 50ml

 

[仕上げ用]黒ごま・塩 … 適量

 

【下準備】

  1. 3回ほど水を替えながら洗い、たっぷりの水に3~6時間浸ける。浸水後はざるにあげて水を切る

  2. 軽く洗った小豆をたっぷりの水でゆで、沸騰後1分で湯を捨て 新しい水400mlを加えて中火で20〜30分、少し固めに感じる程度にゆでる。

  3. ざるで小豆をこし、ゆで汁は冷まし 色味の濃いゆで汁60mlを取り分けておく

  4. 水気を切ったもち米にゆでた小豆を加え、残りのゆで汁と水を加え ヒタヒタの状態にし、3時間〜一晩浸ける ※ほんのり赤く染まる

【仕上げる】

  1. 打ち水用の材料(⚪︎の材料)を合わせ、よく混ぜる

  2. 蒸し器にぬれ布巾を敷き、もち米を広げ 中央を少しくぼませる

  3. 強火で20分蒸す ※蒸気が弱まらないよう火加減に注意

  4. 火を止め、蓋を開けて布巾の四隅を持ち、もち米を軽く動かして上下を入れ替え

    1/3量の打ち水を全体にふりかけ、軽く混ぜる

  5. 再び蒸し器に戻し10分蒸し、上下を返して打ち水をする

  6. 同様に蒸し器に戻し10分蒸し、上下を返して打ち水をする

  7. 最後にもう5分蒸して、ふっくら炊き上がれば完成

  8. 器に盛り、ごま塩をふっていただきます

 

    

【美味しく作るコツ】

  • 蒸す前に米の中央をくぼませて:    蒸気がしっかり通り、ムラなく仕上がる

  • 豆は「ささげ」に替えてもOK

    皮が破れにくく、色も鮮やかに

  • 打ち水をする

    赤飯全体の味と色の決め手

  • 蒸し上がったらすぐ広げて冷ます

    そのまま置いておくと水っぽくなるので、軽く混ぜて、飯台や保存容器へ

 

祖母のような「手加減」の味にはまだ届かないけれど、手をかけ、時間をかけた分だけ、心がふわっと満たされていく ___ そんな気がしています

 

これからも、あの味を目指して、丁寧に炊いていきたいと思います