波子の殺人者推理1
清瀬市役所の自転車置き場で全裸の女の死体がころがっていた。田中警部と部下3名それに鑑識の小沢がパトカーで現場に急行した。小沢は「青酸カリによる中毒死のようだね」といった。(青酸中毒とは気体としては気道、液体としては消化管や皮膚から入って中毒現象を起こす。大量吸収は即死。青酸死体は独特のアンズのような臭気を発し、血液と組織が鮮紅色を呈する)警部はその理由を聞いた。「顔色を見ると赤いし、アンズのようなにおいがするからです。長年鑑識をやっているとすぐわかるのですとも言った」「第一発見者は ?」と警部は続けた。毎朝新聞記者の高橋啓二さんが朝の散歩をしていて、たまたま今朝は市役所内を見たら、このありさまだったので、水天宮のウラの一戸建てに至急戻り、自宅から百十番したそうです。最初に現場に行ったのは水天宮の道路を挟んで右側の交番で、すなわち地域警察官。彼は全裸の女性死体が転がっているのを見て、これは他殺の可能性もありと判断し、大まかな状況を東村山署に報告したのです。同時に市役所も午前9:00に開所するので人の出入りがまだない 7時ごろに連絡したそうです。高橋さんは毎朝新聞社の記者であるので、殺人事件の可能性が高いと判断し、最初から出会い系の事で以前お世話になった田中警部を名指しで呼んだそうです。警部は「部下も到着したので黄色いロープなどで現場を囲い、青いシートを巡らす作業は部下に任せて高橋宅へ伺うことにしよう。私は「毎日の日課として散歩コースに市役所を通り、柳瀬川の公園まで歩いて行き、別の道を通って自宅までつくようにしています。散歩の時間は約30分です。今朝も6時ごろ、市役所の出入り口前を通ったら全裸の女性死体を見つけて、驚き、私は神経質な性格なので手首にさわり、脈を確認したら脈拍がないので、この女性は死んでいると判断しました。警部は「出勤前の忙しいところ、丁寧な説明をしてくれてありがとうございます」といってパトロールカーを運転して現場の市役所へ戻った。現場では鑑識課員が指紋や髪の毛、靴の跡など、物的証拠を集めようとしたが何一つも発見されなかった。すなわち「あるがまま」の状態により物的証拠なしで初動捜査は終了した。田中警部に昇進していない頃(2年前ごろだと推察します)刑事一課の課員であった頃、私は署に行って、たしか「MAX」とかの出会い系サイトから5000円を 取り戻してくれた方であり、田中警部は人柄が良くて、明るい人であった。大方の出会い系は一度支払った金は絶対に返金しない。しかし刑事1課から直接電話で返金を命令すると返金せざるを得なくなる。何故ならば、大小の出会い系にかかわらず必ず警察は次の手として本店だろうが支店であろうが次の手は「ガサ入れ」をするからであった。「ガサ入れ」はその出会い系は倒産するか、暴力団が経営していればその警察は手柄になり、暴力団・右京であれば警視庁(東京都の警察行政をつかさどる官庁。長として警視総監をおき、管内には警察署を置く。夏目漱石、文学評論「文学の読者の中にはいろいろな階級種類があって・・・余は風俗取り締まりのために読む」警視庁のデータベースに経歴が全て分かる・知っていたのだ。私が本社から田無通信部に飛ばされたときに受け持ち区域は東村山・所沢・東久留米・ひばりが丘・田無・秋津など六ヵ所も在った。私が毎朝の新聞記者であることは警視庁にあるコンピューター・データベースに掲載されているので尋ねなくても東村山署長は知っていた。初動捜査で何も発見されないので女性の裸体の捜査から始めなければならなかった。死後硬直から推察すると死亡時刻は昨晩の 24時過ぎ。年齢25歳前後の女を全裸にしたのは、警察に対して、犯人が証拠を残さないため。犯人は殺人に慣れている暴力団の組長以下の奴と推定された、だけであった。「1991年3月、暴力団対策法(暴対法)が施行された。これは組織化・巧妙化する暴力団犯罪を取り締まるための法律で、この法律によって暴力団はすっかりシノギがしづらくなったといわれている。警視庁でも、従来までのマル暴ことを捜査四課に加えて、新たに暴力団対策課を設置し、暴力団組員の組抜け、や市民からの相談を受けるなどしているが、実はこの暴力団対策法、現場のたたき上げのマル暴刑事の中には、この法律のせいで(仕事はやりづらくなった)という声が少なくないという。」警察の初動捜査はあんなにも物的証拠もないし、手掛かりがなかった。東村山署の刑事一課出人口には「清瀬女性殺人事件」の垂れ幕が筆で描かれ、はられていた。私は毎朝新聞の朝刊にはこの事件について何も書かれていないのは当たり前だと思っていた。なぜならば朝刊の締め切りが約午後 5~6時ごろであったからだ。これは私だけでは推理できないと思ったので内縁の妻であった松本波子さんに手伝ってもらった方がよいと思案していた。とにかく今日彼女と会う約束を電話でした。私は「もしもし松本さんですか ?」というとお母さんが出て、高橋さんにはいつも波子はお世話になりありがとうございます・と丁寧な声がした。今波子の部屋へ電話を回しますから。波子さんが電話に出てくれたので、私は「今日は会えない ?」言ったら、波子さんは「会うにきまっているでしょう。おめでたができたのよ、早く来て」「今 8時半だから、9時半ごろには池袋に着く、例のクラシック喫茶店(現在は普通の喫茶店になっていた)の周辺、待っていて !」「わかったわ」と言って電話は切れた。カジュアルルックで、での青色のバッグをさげて、私は彼女が待っている喫茶店に向かった。今日は木曜日で時刻も8時過ぎで、ビジネスマンは出勤後であり、西武池袋線はスイテいたので、多くの座席はあいていた。「心理学の本を読んでいた」あっという間に池袋につき5分ほど歩いた。赤い色のベンツが待っていた。波子さんは「私の住んでいる平屋の部屋へ直行しましょう、及びこないだの性交渉が当たって今は妊娠6カ月なのよ!」私は「安定期に入っているので、流産など、もうしないから安心してね。それに超音波検査で女の方が男の方からも分かっているでしょう」「それが女の子なのよ」「母子手帳も当然もらっているんでしょ、どこの病院に通院して居るの ?」と聞いたら「あなたの言っていた女子医大にきまっているじゃない・初産だから帝王切開もあり得るから大病院の方がよいと思って」といったので私は「おめでとう今晩は夕食時に二人でぶどう酒で乾杯しよう」と心から喜びの表情になっていった。ところ、私が今日、波子さんに会う目的は「殺人事件」に協力してもらいたくて ?波子さんは「実は推理小説も書くつもりであったの。芥川賞はいわゆる純文学の分野で、文壇の登竜門だけで、今ごろの若者には人気がないので、失敗しても売れ残りが出て、私がそれを買い取るなんて面白くも何ともないわ」私は「君の想像力すごいものがあるよ」彼女は毎朝の夕刊を持って来て、この小さな記事に女性殺人事件と書いてあるわ。あなたの言って居るのは「この事件のことでしょう ?犯人は逃走中と書いてあるわ。清瀬市役所には監視カメラは当然あるはずよ」「でも夜中の 24時過ぎになぜ、彼女は市役所に行ったのか ?それにカメラにも写っていない」波子さんは「事件には必ず筋があり、筋を読まないと。殺人事件が発生し、機動捜査隊員の初動捜査が始まる。捜査1課の刑事たちがやってくるころ、黄色いロープのところで見張りをしている清瀬駅前の交番の巡査から「ご苦労さまです」と敬礼され、白い手袋をしながら、ロープをくぐってくる刑事たち。今回の殺人事件なら、遺体にかけられた青いビニールシートをめくってガイシャの顔を見る。そして、懐中電灯で現場周辺を見回す。この時、捜一の刑事たちが最初にやるのは(事件の筋)を読むこと。(事件の筋)とは事件の大まかなシナリオのこと。(作家の私も同じことをやるわ)殺人事件の場合、事件はガイシャの人間関係によって起きたのか、あるいは地域に関係したものが、(流し)の犯行なのかを読む。また計画的な殺人なのか、偶発的殺人なのか(狂人すなわち異常者)なのかも推理する。さらに、人間関係によるものなら(痴情)がらみか(怨恨)、(金銭・物取り)か。こうしたことを直ちに読み、捜査方針を決める。・・・これが(事件の筋を読む)ということ。もちろん事件の筋読みは、刑事の長年の勘によるわけだけれどこの段階で筋を決めつけてしまうのは危険であるわ。それら固定観念となって、臨機応変な捜査ができなくなってしまう。波子さんは「河出書房新社の本を読んだのだろう」と私はそのとき思った。腕のいい刑事の勘は確かに良いが勘だけにとらわれることは決してない。結局は、足を使って、一つ一つの筋をツブして犯人にたどり着くのでわ ?」これは小説を書くときも同じよ。だって東京に居て京都に関係する小説は書けないと同じだわ。「君の作家としての見解は筋が通って居るよ」波子さんは「昼食を食べたら、私のベンツの運転で 12時半ごろ清瀬市役所へ行ってみない ?」道順はあなたに任せるから。私は「ここからだと川越街道を 30分ほどを直進し、テレビで宣伝しているニトリの家具店の付近で左に曲がれば志木街道に出るはずだから、これから30分ほど行くと清瀬市役所へ着けるよ」このベンツにはカーナビも付いているし。でも殺人事件と同じくカーナビに頼り過ぎるのは危険なのだよ。渋滞している道路まで考慮して道案内するから。コンピューターのインターネットを信頼しすぎて、事件が起きるのは、インターネットでウソも付ける。波子さんは「本当にそうね」と応援してくれた。私の妻は「下げ万」であるけれど、波子さんは「上げ万」その時、この言葉を反芻している自分に気がついた。
*これはフィクションです。 続きます。Arutoru16