「ではその部屋にまだいるかもしれませんね。あいつ何するか分かりませんよ。多分今物凄く焦ってると思うし。」
それは俺がお前達に言いたいセリフだ。
「では、僕が見てきますからあなた達はここにいて下さい。あと僕の車の鍵。知りませんか。」女は一言も喋らないが知らないと言いたげだ。
「俺は知らないですよ。多分この子も。彼氏を追ってここに来ただけですから知るはずもないって感じですね。」
どことなしか男は清々しく答えた。

家に入りリビングの窓に立てかけてあったライフルを持つ。犬を殺したのはあの女の彼氏なのか。また別に犯人がいるのか。だとすると俺の家には2人が立てこもって居ることになる。この場合仮に射殺してしまったら俺は正当防衛になるのだろうか。相手が凶器を持っていればなるだろうが、どちらにしてもなるべく人を殺めたくはない。

しずかに音を立てないよう風呂場に近づく。いざとなれば外の2人が助けに来てくれるだろう。

風呂場の外から声をかける。「誰かいるのか」
分かってはいたが返事はない。
ドアを開けると先ほどの犬。最初はは気づかなかったが血の匂いがする。
目を伏せながら風呂場の扉を締める。
「うわ!!」
脱衣場の洗濯機の中に猫がいる。バラバラにされた猫。

これは腰が抜けたのか後ろに倒れ込んだ。なんなんだよ。だれがこんなこと!動物の命をなんだと思ってるんだ!怒りと悲しみで涙がこみ上げてくる。

絶対捕まえてやる。