ガチャン!!!

ドアが開かない。そおださっき男の影が消えてから鍵を掛けたのだった。ツマミを縦に回すだけの単純な鍵が手が震えて開けられない。縦に回すのか横に回すのか。今横を向いているから縦にくるっと回すだけなのを理解するのに少し時間がかかってしまった。ガタガタ震える手でなんとかツマミを縦に回す。それと同時に外に少しの隙間から滑り込むよおに出る。
外にでながら少し振り向くと一瞬見えた白い手の女がたっているのが見えた。濃い色のジーンズにベージュのニットの袖を少しまくり黄色のニット帽を被った方位の髪の長さの女だった。

「だれなんだよ!ふざけんなよ!」怒りと恐怖で車のドアを勢いよく閉めた。鍵は運転席のシートの下に隠してあった。一応と思って隠していたが本当に役立つ時が来るとは。そお思いながらシートの下に右手を伸ばしてまさぐる。

「くそ!!!」鍵が手の感覚だけでは見つけられない。玄関に目を配りながらも一旦車から降りてシートの下を覗き込む。だがそこには車のキーはない。まとめて家のキーもロッジのキーも着けているのに。玄関に再び目を移すと女がドアを開けてこちらを見ていた。

その表情からは何もくみ取ることができなかった。怒っているのか悲しんでいるのか、全くの無表情とゆうものなのか。俺の事を見ているが見たいものは別にあり、道端に落ちているコンビニのゴミ袋でも見ているような表情だ。

俺は観念したように車のドアを閉めた。車を間に挟んだまま彼女に聞く。
「何がしたいんだよ。不法侵入だぞ。」犯罪を犯しているなんて事今彼女に伝えたとしてもなんの意味も無いことは分かっていた。だが言葉がみつからない。

「私の彼が来なかった?」
分かった。こいつは悲しんでいる。こんな山奥まで追いかけてくるのだから相当酷いことをさせたのだろう。知ったことではない。風呂場の件を忘れさせやがって。
「お前の彼氏かどうかしらねーけど、男なら来たよ!家に入れて欲しいって言われたけど断ったから家にはいない!だからお前も出てけよ!」
こんなに恐怖と苛立ちが一緒に来たのは初めてで、生まれて初めて人に向かって怒鳴った。

「俺は見たよ」
おれの後ろから男の声がした。
「細身の男が裏の窓から入って行くところを。」