※blog主のかのんさんに、ご許可を頂いてリブログさせて頂いています

たまかけさんのお名前も、かのんさんのblogで公開済みです

 

 

アルマと同時期に同じ様な手術をした、たまかけさんが倒れられてしまいました

原因は、かのんさんblogから伺う限り、永久気管孔の閉塞のようです

 

当事者であるたまかけさんはもちろん、傍で献身的に支えてこられたかのんさんのご心労を想うと心が痛みます

 

 

色々、考えるところはあるのですが、blogに残す意味がありそうなことを書かせて頂きました

 

 

病状を理解してもらう記録になれば、

少しでもたまかけさん、かのんさんの孤独はやわらぎ、エールになるのかな

とも勝手に願っています

 

 

「そんなの医者に聞けば良いじゃないか?」

とみなさん思うと思いますが

 

永久気管孔を自分で経験した医療者はほぼおりません

私の知る限り、みなさん、自己流で自分の身体に合わせて試行錯誤されています

 

 

 

 

1.永久気管孔はとても苦しい

永久気管孔はかなり苦しいです

精神的に…というのはキリがないので置いておいて

シンプルに、物理的に酸素が上手く取り込めません

 

酸素が取り込めないと、運動≒身動きが取れません

口と鼻を湿らせたタオルでぎゅっと塞ぎながら、ちょっと走ってみるとこの感覚は分かるかもしれません

 

アルマも半年はほぼ寝たきりでした

これは、心の問題だけではありません、運動すると酸欠でクラクラするのです

外を歩いただけで、頭がクラクラしました

(今はジョギングくらいはできるかも?)

 

 

2.永久気管孔と飲酒

かのんさんのblogを読むと、たまかけさんが結構飲酒をしていることが分かります

これは、ある意味、仕方のないことなんです

 

アルマも今でこそ断酒ができていますが、退院した後はそれなりに飲んでいました

精神的な理由もありますが、以下のとおり、物理的な必要性もあったのです

 

①健常者時代と全く同じ気分転換になるのは飲酒だけ

 ⇒食事も満足に楽しめない中、飲酒している時は健常者時代と同じ気分になれます。この魅力は避けがたい。

②鎮痛としての酒

 ⇒頭頚部がんになると、首が四六時中痛みます。飲酒すると、10分は痛みを忘れます

③気管拡張としての酒

 ⇒飲酒すると血流はその瞬間よくなるので、一時的に呼吸が楽になります

 

 

 

あくまでも刹那的な効果であり、長期的にはまったく無意味ですし、酔えば身体は辛くなるのでもっと苦しくなります

 

でも、そんなこと分かっていても飲むんです

30分後に苦しくなるのは分かっていても、初めの10分はちょっと楽で

その10分が欲しくて飲むんです

 

 

これだけ心身への鎮痛の効果があれば、根性とかでは絶対に断酒はできなくて

上記のような症状をしっかりと粘り強く医師につたえて、

「アルコールに代替できる鎮痛方法」

を薬なりマインドセットしてもらって、初めて、肉体的な面ではお酒を避けられる可能性がでてきます

 

 

飲酒していると、アルコール耐性ができてしまい、むくむのでもっと気管が苦しくなります

それが苦しいので、さらに飲む、の繰り返しで

飲むと免疫が下がって風邪気味になり、痰がでてさらに気管が詰まる…

という最悪のループになります

 

 

「じゃあやめなさいよ?」

と見守っている側は思うと思いますが

それを言われても本人は

「だったらどうしたらいいのか教えてくれ!」

とより孤独を深めるので、有害なアドバイスになってしまいます

 

 

 

3.永久気管孔の大きさとケア

気管孔は首に穴をあけて肺に直接つなぐのですが

その大きさは人それぞれです

アルマは直径1.5cmで指が突っ込めますので、痰を指で掻き出せます(医者推奨ではない方法ですが仕方ない)

 

しかし、鉛筆の太さくらいの人もいて、そうなると指は突っ込めないので

 ・如何に痰をつくらないようにするか?

 ・痰ができたら如何に吸引するか?

というかなり大変なケアになります


この季節は外が乾燥していて、すぐに痰が鼻くそみたいに固形化して気道を塞ぎます

それを防ぐには、とにかく乾燥を避けることです

 

気管孔の大きさが小さい場合、ご本人が加湿吸引のケアに心を割く余裕が出せないと結構大変

 

 

 

4.痰が肺に落ちるということ

気管孔トラブルからの窒息⇒失神はアルマもやったことがあります

原因はケアに使っていたティッシュペーパーが詰まった点でした

 

 

かのんさんのblogから該当箇所を出してみます

 

【引用開始】

医師が来て彼の気管孔を
エキスパンダーで広げて無謀にも生理食塩水を直接たらして
中に固まった血痰の固まりをピンセットで取りだした。
石のようになった大きな血の塊が出てきて
思わず声を上げてしまった。
「これが肺に落ちたらアウトでしたよ。」
医師はそう言った

【引用終わり】

 

 

「肺に落ちる」というのですが、永久気管孔の人は、気道が直接外気に触れますので、気道の中に痰の塊ができてしまうことがあります

※鼻で加湿してから空気を取り込める健常者はこういうことはまずないです。痰はあくまでも痰でしょう?

 

この、固まった痰が、気道の下、右肺と左肺の気管支部分に「落ちる」と、窒息します

小さな塊であれば、肺で加湿されて溶けますが

大きな塊が落ちると5分では取れなくて、5分息ができないと窒息するので致死性になってしまいます

 

5.ではどうすればいいのか?

もう人それぞれ

 

しかし、医療者に聞くと画一的な答えが返ってきます

 

「加湿して、痰が固まらないようにお大事になさってください」

 

そうとしか言えないんです

医者だって看護師だって分からないんです

 

結果、この方面のケアの知識や経験は蓄積されることがなく、散っていってしまう…

 

 

<加湿をしっかりするルートの人>

ちゃんとネブライザーを使って、吸引も頑張る

人工鼻とかもつかって対応する

 

高齢の方はこっちの対応の方がいいです

 

 

<気合で対応するルートの人>

アルマルートです

去年、あまりにも苦しくて、常に痰を吐き散らかしていたので、同病の方に聞いたら

 

「うーん…人工鼻もいいんですが…慣れを鍛えるのが一番かな?」

 

ということで、もう正面突破しました

 

慣れを鍛える、というのは、もう、謎なんですが

七転八倒の数か月を耐えた結果

痰が出なくなって気管が堅牢になります(真顔)

 

みんなに当てはまることではないけど、やってみるしかない

 

 

 

 

この点をBIG TOEの兄さまと相談したんですが

兄さまは

 

「私の場合は、喉ではなくて胸からの気管孔で肺までの距離が短いので、試行錯誤してカニューレの長さをDIYして対応しています」

 

という、マッチョな解決方法でマッチョに解決されていました(尊敬)

 

想像してみて欲しいのですが、自分の気管に突っ込む管を自分でDIYして突っ込みながら

「苦しすぎるな、この辺ならOKかな?もうちょっと長くしようかな?これだと肺に落っこちちゃうかも」

みたいに自分で人体実験しながら試行錯誤でやっているのですよ…

 

病院に相談したって、こういう時間のかかるケアには付き合って貰えないことが多いですから…

医療者はみんな忙しい

 

 

 

 

 

なんで加湿が必要なの?

 ⇒痰が固まらないようにするため

なんで痰が固まると危ないの?

 ⇒気管支に落ちたら窒息するため

なんで気管支に落ちたら窒息するの?

 ⇒イラストご参照下さい

 

 

という風に、どういうことを避けるために、どういうことをしないといけないのか?

をちゃんと理解してからやらないと、ケアが失敗になっちゃう

 

 

そして、こういうケアは本人にしかできないんです

なので、かのんさんがblog中で、「もっと気付いてあげられたのに…」とご自分を責めるのは間違い

 

 

ケアの話は、病院でもほとんどしてもらえません

この話がたまかけさんに届き、何らかのお役にたてると本当に嬉しいです

 

 

そして、永久気管孔の人間がどういう感覚なのか

世間の人は理解無理でも

せめて医療者には理解して貰えるととても助かりますし、よりよい方法が産み出されることを願っています