加藤剛さんとは、映画と、舞台でご一緒させていただきました。本当に終始穏やかな方で


舞台で駆け出しの私はその時19歳で、剛さんのお付きをさせていただき、ある日楽屋に用事で伺った時に、寝癖が直らなくて困っている剛さん。


ヘアドライヤーで剛さんの寝癖を直していると「大変だね、ありがとうね」と声をかけていただきました。


剛さんが、いろんな意味で言ってくださっていることはその言い方から感じられて

その時、私はまだ若くていろんなことにいっぱいいっぱいで、

ちょっとでも優しい言葉をかけられると号泣してしまいそうになる状態だったので、そのお言葉には無言で唇を噛んでいたのを思い出します。

そんな私を見て、これ以上は話さない方がいいと思ったのか、剛さんは、ご自分がホテルのベッドにどういう風に寝るかを面白く語ってくださいました。


ホテルって、布団の端が、ぎゅっとベッドに挟まれているじゃないですか、

それを剛さんは崩すのが嫌なんですって。笑


だから、出来るだけ少なく端の方を出して、体をすっぽりシーツの間に入るように気をつけて就寝するのだとお話されてました。


あんな大物が

そろぉ~っとベッドに入る姿を想像して、クスッと笑ってしまいました。


それからは、その舞台がすこーし、楽になりました。


ベッドと同じように、こんな下っ端にも繊細に気を使ってくれる剛さん。


それからもお会いするたび、やっぱりふんわり優しい笑顔をくださいました。


心からご冥福をお祈り致します。