コーチング・アドバタイズメント:2 広告からコミュニケーションへ2)思いの届け方 | arukoのブログ

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コミュニケーションデザインを生業とするプランナーの備忘録。

コミュニケーションにおける「思いの届け方」について、考えてみたい。

広告に限らず、ゼロまたは希薄な関係性からスタートして、この情報飽和時代にコミュニケーションを成立させるのは、簡単な事ではない。届けるだけで安心しても、すぐに捨てられたり、忘れられたりしては、実質的に「届いた」事にならないというのは、厳しい現実だ。

思いの届け方には、次の3つのポイントがあると思う。
ひとつ目は、ペーシング。届けたい相手の生活のペース、気分、タイミングを尊重すること。また、こちらが届けたいメッセージへの関与度を推し量り、押し付けすぎず、控えめになりすぎず、適切なボリュームと頻度でメッセージを発信することがまず大切だ。自分が何年もかけて研究し、絶対の自信を持って送り出すアイスクリームだって、時と場合とその相手の気分によって歓迎されもするし、無視されもする。人々は自分のペースで生活しているのであって、某アイスクリームのセールスストーリーに組み込まれたいと思っているわけではない。自分のライフストーリーにフィットするストーリーを持ったアイスクリームだと感じたら、それを自分のストーリーに組み込むだけだ。

ふたつ目は、アサーティブネス。自分も相手も尊重した、フラットな自己主張のこと。耳ざわりの良いことも悪いことも、送り手側の都合で編集したりせずに、包み隠さず開示するのは、おつきあいをする相手にたいする礼儀だと思う。いわゆる炎上事例の中には、初動のタイミングで自社に都合の悪い事実を隠蔽したり、のらりくらりと言い訳をして肝心な事を言わなかったりする場合が多く見受けられる。人々は、事実が何であるかと同時に、その釈明の態度がアサーティブかどうかをじっと見ているものだ。また、2012年のAdTech Japanでは、オーセンティックというキーワードが注目された。信頼できる、本物の、といった意味だが、例えばfacebookが実名性である事が、信頼関係を支え、健全で活発なコミュニケーションをサポートする、といった文脈で使われた。匿名の発信でなく、立場を明確にし合う事で、建設的な議論が生まれ、コミュニケーションが活性化すると言えよう。

みっつ目は、パートナーシップ。これは、アドホックなその場限りの断片的な関わりでなく、中長期的な視点を持って全人格を開示し合い、おつきあいをするという意思表示が前提となろう。広告の世界では、残念ながらまだまだ短期的なキャンペーンごとにエージェンシーをたびたび変えたり、ビジョンの共有がないままで表現の差異だけを比較するような競合作業を繰り返すクライアントが多い。なんとなく身体の不調を訴える人が、信頼できる医師や納得できる説明を求めて次々に病院を変えて行くドクターショッピングにも似ている。青い鳥症候群から抜け出すには、上質なパートナーシップを結べる相手方となるべく、エージェンシーもクライアントも対話をすることから始めたい。そして、チームとなったクライアントとエージェンシーだからこそ、人々とのパートナーシップを築くためにともにフラットな立場で思いを届けて行けるのだと思う。

ペーシングと、アサーティブネスと、パートナーシップ。なぜ伝わらないんだと歯ぎしりする前に、心がけておきたい姿勢である。