レベル5、世界最大級の原発災害…東電が福島原発からの全面撤退を内々に検討していたとか、日本政府が原発情報を隠蔽していたため、アメリカが激怒、海外メディアも批判的とか、在住外国人の海外脱出ラッシュとか…そんな大ニュースの陰で、ひっそりと、タイのバンコクで殺された「外こもりのススメ」著者・安田誠(棚橋貴秀)さんの殺人事件 裁判員裁判の判決が…きっともう忘れてる人のほうが多いんでしょうね。

◆タイで日本人男性殺害、被告に無期懲役判決
読売新聞 3月18日(金)22時35分配信

 岐阜県山県市出身の棚橋貴秀さん(当時33歳)が2008年8月、タイで殺害された事件で、強盗殺人罪などに問われた大阪府出身、浦上剛志被告(32)の裁判員裁判の判決が18日、岐阜地裁であった。
 宮本聡裁判長は「被害者の財産に目を付けて犯行に及んでおり、動機は極めて自己中心的で利欲的」と述べ、求刑通り無期懲役を言い渡した。浦上被告の弁護士は控訴する意向を示した。
 判決によると、浦上被告は08年8月5日、愛知県一宮市、無職森宏年被告(33)(強盗致死罪で懲役13年の判決、控訴中)と共謀、バンコクのマンションで、棚橋さんのキャッシュカードなどを奪ったうえ、浦上被告が頭を浴槽に沈めて水死させた。
 公判で浦上被告は、「森被告に陥れられ、犯人にされた」と無罪を主張していた。判決は、森被告の「自分が外出中、浦上被告が殺害した」との証言について、「客観的な証拠とも一致し、信用できる」と判断。浦上被告はパソコンに殺害計画のメモを残していた上、「財産も減っていて動機もあった」として、「殺害した犯人と認められる」と結論付けた。



◆過去記事(岐阜新聞)2010年12月01日
 タイ・バンコクで2008(平成20)年、山県市出身の棚橋貴秀さん=当時(33)=が殺害された事件で、強盗致死罪に問われている愛知県一宮市、無職森宏年被告(33)の裁判員裁判の初公判が30日、岐阜地裁(山田耕司裁判長)であり、森被告は「強盗の共謀や意思はなかった。殺人にも関わっていない」と述べ、無罪を主張した。
 罪状認否で、森被告は「(事件の)全てを伝えたい」と述べた。
 冒頭陳述で弁護側は、共犯とされる浦上剛志被告(32)=強盗殺人罪などで起訴、公判前整理手続き中=が、棚橋さんを殺害して財産を奪う計画を隠し、架空の「おじさん」が棚橋さんに貸した金を取り戻すという名目で、森被告に手伝いを依頼したと説明。森被告には「財産を奪うつもりはなかった」とした。
 また、森被告は棚橋さんが殺害される前に「殺すな」と言い、浦上被告の承諾を得てから殺害現場を離れており「その時点で共犯の関係ではなくなった」と棚橋さん死亡への関与を否定。森被告は「浦上被告に利用された」とした。
 検察側は、2人は棚橋さんが抵抗できないほどの暴力や脅しを加えたとし、強盗の意思はあったと主張。浦上被告による棚橋さん殺害を前提に「浦上被告と共犯関係にあり、森被告には殺害の責任がある」とした上で「森被告は実行犯として不可欠な役割を果たした」と指摘した。
 起訴状によると、森被告は08年8月5日、浦上被告と共謀し、バンコクのマンションで、棚橋さんの両手首に手錠を掛けたりして暴行を加え、キャッシュカードなどを強奪。浦上被告が棚橋さんの頭を浴槽に沈め、殺害したとされる。
 刑法の国外犯処罰規定を適用した事件の裁判員裁判は全国初とみられる。


 2人の逮捕容疑は共謀して08年8月5日、バンコク市内のマンションで現地時間午前10時15分ごろから約5時間半にわたり棚橋さんを監禁し、暴行を加えてパソコン2台とキャッシュカード2枚を奪ったうえ、浴槽で棚橋さんをおぼれさせて殺害したというものですが、事件の経緯を執念深くまとめてらっしゃる方もいたので、紹介させていただきます。

2008年
8.11
事件の第一報。バンコク在住の日本人ブロガー、FXデイトレーダー棚橋貴秀さんが行方不明になった。
8.13
タイでATMからの現金強奪。棚橋貴秀さんが行方不明になった直後、預金口座から現金約4万バーツ(約13万円)を引き出されていたことが発覚。
8.16
名古屋でATMからの現金強奪。知人の日本人男性(30)がタイから日本に帰国していたことが分かった。7-10日に名古屋市内の複数の現金自動預払機(ATM)から4回にわたって、男性のタイの銀行口座から計20万バーツ相当(約65万円)が引き出されていた。
8.18
タイ警察は18日、複数の人物が事件に関与しているとの見方を明らかにした。 「日本人最低2名とタイ人のあわせて3人以上による犯行」(スチャート副総監)
8.20
容疑者の名前判明。日本人男性2人に逮捕状。森容疑者と浦上容疑者は以前から棚橋さんと面識があり、ブログにもその痕跡が。
8.21
森容疑者出頭。犯行直前に渡タイしていた。森の母親は20日夜、名古屋市で取材を受け、擁護。任意聴取に対し、別の男から頼まれ現金を引き出したことを認めたが「自分は殺していない」。
8.22
浦上容疑者、日本国内の警察に出頭。岐阜県警が任意で事情を聴く。聴取の際「身の潔白を証明するため出頭した。事件とは関係ない」と話すが、棚橋さん名義のキャッシュカードで名古屋市内の現金自動預払機(ATM)から計約1000万円を引き出していたことが分かった。
8.23
岐阜県警は、捜査員数人をタイに派遣。
8.25
森容疑者、岐阜県警の任意の聴取に、計約1000万円を下ろしたことを認め「大阪出身の知人に渡し、謝礼を受け取った」と話していることが分かる。
9.2
棚橋さんの遺族がバンコクに到着。
9.4
警察庁と岐阜県警から派遣された捜査員らは4日、遺体が見つかったタイ中部を訪れ、タイ警察の捜査員と情報交換を行った後、遺体発見現場の山中を視察。
9.6
タイ警察から逮捕状が出ていた容疑者らは、岐阜県警の任意の事情聴取に、「この部屋に棚橋さんを呼び出した」などと話していて、捜索の結果、部屋からは血痕などが見つかっている。タイ警察は、棚橋さんはこの部屋の浴室で殺害されたとみていて、裏付け捜査を進める。
9.10
森容疑者殺害を認める。「棚橋さんと株取引の利益配分をめぐりトラブルになっていた。」
9.11
窃盗容疑で日本人2人に逮捕状。ネットのhatenaの質問履歴から、浦上容疑者が計画し、森容疑者を誘って2人で実行したとの見方強まる。