アマンダ(原題)(2018)
東京国際映画祭コンペディション部門(フランス)
あらすじ
便利屋業をしているダヴィッドは、パリに出てきたてのレナに出会い、恋に落ちる。しかしその直後、妹の突然の死によって彼の人生は無残に壊れていく。ダヴィッドはショックと辛さを乗り越え、まだ若い姪っ子アマンダの世話をしながら自分を取り戻していく。
監督 ミカエル・アース
キャスト
ヴァンサン・ラコスト
イゾール・ミュルトゥリエ
ステイシー・マーティン
(TIFF31th HPより)
不条理な死
どこにいても無差別なテロに巻き込まれる可能性がゼロではない世界。
シングルマザーとその娘の日常は
いつもと変わらない風景から始まる。
幼いアマンダにエルビス・プレスリーの逸話を話す。
「彼の人気振りと言ったら、コンサートが終わってもファンは帰ろうとしなかった。主催者側はファンに諦めて帰ってもらおうと“エルビスはもう建物を出ました”とアナウンスした。それほど凄い人気だったってこと」
7歳のアマンダにこの比喩が理解できたのか?できなかったのか?
まだ2人の日常は続くはずだった。
アマンダにも
アマンダの叔父になる若いダヴィッドにも受け入れ難い悲劇がやってくる。
この場面以降、日常の場面の中で
やたらと警察官や警備員が目についてくる。
あ、これがフランスの“日常”なのかと
身体がこわばってくる。
自分の身に起きた「なぜ」が解決できないまま、受け入れていくしかない状況は本当にきつい。
急な病に倒れることも同じ
これまでと今と
「なぜ自分の身に起きたのか?」
ずっと反芻していく。
映画がラストを迎えても
この反芻から逃れられないし
気分は晴れない。
だけど、それでも人は
小さな1点の希望の光を見出していく。
母親から教わった比喩の中に
終わらない強さを知る。
辛いことの中にでもある強さ。
アマンダの中にある強さに
心打たれる。
先のこと、未来の希望との断絶。
1度切れた未来の糸を繋ぐことには
時間がかかる。
ダヴィッドもアマンダも
自分の中の心の回路を繋ぎながら
未来の糸を繋いでいこうとする。
不器用な結び目でも
そこにある頼りなさも愛おしい。
自分の痛みは人には伝わらない。
きっと心から理解することも出来ないだろう。
ただ出来ることはひとつだけ
互いに寄り添うことかと
そう思った。
★★★★★満点
これは是非
日本でも公開して欲しい作品。



