カミーユ、恋はふたたび(2012)
第38回セザール賞にノミネートされ、カンヌ国際映画祭でも上映されたドラマ。夫の浮気などで人生に行き詰まりを感じている中年女性が、学生時代にタイムスリップしたのを機に自身やそれまでを見つめ直す。監督と主演を務めるのは、『マリー・アントワネットに別れをつげて』などのノエミ・ルボフスキー。『潜水服は蝶の夢を見る』などのマチュー・アマルリックらが共演。
人生の折り返し地点を迎えるも、さえない日々を送っているカミーユ(ノエミ・ルボフスキー)。猫と酒に癒やされる中、25年も連れ添った夫に若い愛人がいることが発覚、さらに彼から離婚を切り出される。そのショックから立ち直ろうとパーティーではしゃぐ彼女だったが、泥酔した上に昏倒してしまう。目を覚ますと、彼女は自分が中年の状態で10代の学生時代にタイムスリップしていることに気付く。容姿が中年であるにもかかわらず誰も不思議がらないことに違和感を抱きつつ、青春を再び謳歌しようとするが……。<シネマトディより>
タイムスリップものの多くは、
若返った上で、失敗してきた人生をやり直す
というのがセオリーだけど、カミーユの場合、
40代の姿のまんま16歳の誕生日前にタイムスリップ。
おばさん体型のまま
ピッチピチのTシャツに超ミニスカート(^◇^;)
場面にハマるまで若干の時間を要しながらも
途中から10代気分ではしゃぐカミーユを見て
「イキイキしてるなぁ」と感心。
タイムスリップ前の姿は
正直、40代とも言い難いくらい老けこんでいて
世を拗ねまくっていて、
嫌なアル中のおばさんだった。
10代を謳歌し始めるにつれ
とても魅力的な女性として輝き始める。
今回は多少ネタバレご容赦。
「40代の身体のまま」はやっぱりキーワードなんだと思う。
容れ物は変われば、人間やっぱり気分も変わるもので、
カミーユの心は時間が巻き戻ったとしても変わらないのだ。
身体も若返ると気分もはしゃぐ以上に若返る気がする。
別れるであろう夫への恨み節や
やり直せそうな恋人選びにしたたかだ。
40代の心のまま惹かれる男性に惹かれるし、
他の男性と経験してみたい欲望も
自分が傷つかないよう童貞男子をチョイスするあたり、
計算高い40女。
彼女の種まきした新しい恋もささやかに手にするんだけれども
悔いがないよう旦那さんとの恋愛もなぞる所、
本気で嫌ならこんなことはしない。
彼女なりの未練を断ち切る儀式だったんだろう。
両親との別れや悪友との友情のやり取り
もう1度丁寧に時間を過ごしていく。
娘の存在も気にしつつ、「パッとしない元の時間」にそれでも戻ろうとしたのは、
もう1度丁寧に生き直せたから。
時計屋でリセットしたのは乾電池だけではなかった。
フランス版「ペギー・スーの結婚」と書かれたレヴューを目にしたけれど
ペギー・スーとは違う成熟した女のファンタジーに仕上がっていた。
タイムスリップものの教訓は
「あの時ああすれば良かった」ではなく
「何を選んでも不正解ではない」
と謳っているように思う。
人間最後に思うことは
「もっと思うまま生きれば良かった」ということらしいが
死にゆく人にインタビューしたわけではないので
それも正解かどうかは不明だ。
旦那さんの撮った記憶にないカミーユの写真が
とてもチャーミングな40代のカミーユだったこと
この演出は粋だなと思った。
好きな男性に素敵な瞬間を切り取ってもらったこと、
彼の目にそう写った自分を想像すると
嬉しい。
この女心に歳は関係ない。
★★★★☆
