「帰ってきたヒトラー」(2016)
ヒトラーが現代によみがえり、
モノマネ芸人として大スターになる
というドイツのベストセラー小説を
映画化。
服装も顔もヒトラーにそっくりの男が
リストラされたテレビマンによって見出され、
テレビに出演させられるハメになった。
男は戸惑いながらも、カメラの前で
堂々と過激な演説を繰り出し、
視聴者はその演説に度肝を抜かれる。
かつてのヒトラーを模した
完成度の高い芸として人々に認知された男は、
モノマネ芸人として人気を博していくが、
男の正体は1945年から21世紀にタイムスリップした
ヒトラー本人だった。
ヒトラー役を演じるのは、
舞台俳優オリヴァー・マスッチ。
(映画comより)
久々に超弩級のブラックコメディを観た。
物語の中で何度も形勢が逆転する。
形勢?
立場や背景が変わることで
存在する側と捉える側の思想が逆転する。
怖い描き方
怪しげな「ヒトラー」という存在を
2014年の現代が想像以上に
好意的に容認し、まつりあげる。
インスタ映え、YouTuber、
インターネッツ、廃れるTV
「現代」に現れたカリスマは、
そのまま「現代」を先導していく。
しかも、ものすごい速さで。
この映画の作りも実験的。
ザヴァツキーがヒトラーを連れ
各地を回り撮られたシーンは
アドリブのドキュメンタリー。
インタヴュー自体が本物。
凍りつくような緊張感が生々しい。
実際、ヒトラーと接した人々の
戸惑いがゾッとするほど伝わる。
笑えない。ひきつる。
とにかく、この小説もこの映画も
ドイツから降って湧いたこと
本国で大ヒットだったことすら
ひきつる。凄い。
さほど有名でもない
オリヴァー・マスッチをヒトラーに起用。
ドイツのホンモノの政治家にも
「ヒトラー」を横に
インタヴュー出演させている。
ザヴァツキー役のファビアン・ブッシュは「ヒトラー 最後の12日間」にも出演している。
この監督と製作者の心臓も
大したものだと感心した。
まぁ
後半からは全く笑えない。
認知症を患っている祖母の前に
ヒトラーが現れる。
「おばあちゃん、風刺を笑えばいいの」
「あの頃とそっくりだよ。
昔もみんな最初は笑ってた。
正体を知ってるわ。全部覚えてる」
「たまには演技を辞めませんか?」
車の中のザヴァツキーの不安が
確信に変わっていく。
「私は騙してはいない。
国民が私を選んだ」
ドイツ市民を巻き込んで
「今」を問う。
虚構と現実のバームクーヘン
笑えない。
気になるシーンもあり、2度観た。
1度目以上に笑えなかった。
他人事か?
たぶん日本も
他人事ぢゃないかもね。
★★★★★(満点)
