塩谷定好の軟調描写な眼
(塩谷定好写真記念館)
ここを訪れたのは本当に偶然だった。
ふと本屋で立ち読みした本に
ぐっと引き込まれた感覚に似て
時計の存在を忘れた。
人の才能の開花は、個人の好奇心と
環境に左右される。
写真家 塩谷定好は活気ある港の、
廻船問屋を生業とする家に生まれ
大正期小学5年生の時、
カメラを買ってもらう。
両手ほどに収まる箱を手にした塩谷は、
目の前の風景を切り取る楽しさを知る。
モノクロの
ソフトフォーカスの風景に写る
被写体には重心があって
それぞれから発散される息づかいや
躍動
写真の中で生きてるように感じる。
大正、昭和初期の港町の風景。
記録的な作品の中にも
大戦前の地方の活力や人の生活力が
じんわりにじんでいる。
切り取られた断片の景色なのに
プリントの端から風景が広がる。
平日ということもあったのか
ガイド役をしていただいた
お孫さんにあたる方に
塩谷の生家をリノベした記念館を
たっぷり案内していただいた。
今でこそ、地方の大道を外れた
ちょっと寂しい漁港が見える場所に立つ。
5年前まで住まいとして使われていた
明治40年頃の古民家。
潮風に耐え得る繊細で
芯の強い木造造り
緻密な美しい格子には
外の寒気を遮断する
凛とした強さがある。
建物の端々に残るかつての豪奢は
時間と一緒に主張せず、
なりを潜めている。
鎌倉期の健剛な仏像に似て、
渋く佇んでいる。
塩谷は写真仲間を自宅に招き、
写真談義に花咲かせたという。
塩谷は当時の写真家の中心にいて
今に続く写真家の系譜に
句読点を入れる人物だったことは
想像できる。
PENTAXを愛用していた塩谷。
パンフレットには
二眼レフを覗く塩谷の姿がある。
覗いた箱の中に世界を
凝縮する集中作業。
誰もが高性能のデジカメをもつ時代。
写メは情報共有のための作業。
写真家は目の前の風景と
僅かな瞬間対話をしながら
シャッターを切る。
絵画と違い、手直しもできない。
完成した姿を予測しながら
ある意味委ねながら、作品をつくる。
陶芸に似ている。
写真とは不思議な芸術。
心を揺るがす写真をみるたび
いつもそんなことを思う。
(塩谷定好写真記念館)
ここを訪れたのは本当に偶然だった。
ふと本屋で立ち読みした本に
ぐっと引き込まれた感覚に似て
時計の存在を忘れた。
人の才能の開花は、個人の好奇心と
環境に左右される。
写真家 塩谷定好は活気ある港の、
廻船問屋を生業とする家に生まれ
大正期小学5年生の時、
カメラを買ってもらう。
両手ほどに収まる箱を手にした塩谷は、
目の前の風景を切り取る楽しさを知る。
モノクロの
ソフトフォーカスの風景に写る
被写体には重心があって
それぞれから発散される息づかいや
躍動
写真の中で生きてるように感じる。
大正、昭和初期の港町の風景。
記録的な作品の中にも
大戦前の地方の活力や人の生活力が
じんわりにじんでいる。
切り取られた断片の景色なのに
プリントの端から風景が広がる。
平日ということもあったのか
ガイド役をしていただいた
お孫さんにあたる方に
塩谷の生家をリノベした記念館を
たっぷり案内していただいた。
今でこそ、地方の大道を外れた
ちょっと寂しい漁港が見える場所に立つ。
5年前まで住まいとして使われていた
明治40年頃の古民家。
潮風に耐え得る繊細で
芯の強い木造造り
緻密な美しい格子には
外の寒気を遮断する
凛とした強さがある。
建物の端々に残るかつての豪奢は
時間と一緒に主張せず、
なりを潜めている。
鎌倉期の健剛な仏像に似て、
渋く佇んでいる。
塩谷は写真仲間を自宅に招き、
写真談義に花咲かせたという。
塩谷は当時の写真家の中心にいて
今に続く写真家の系譜に
句読点を入れる人物だったことは
想像できる。
PENTAXを愛用していた塩谷。
パンフレットには
二眼レフを覗く塩谷の姿がある。
覗いた箱の中に世界を
凝縮する集中作業。
誰もが高性能のデジカメをもつ時代。
写メは情報共有のための作業。
写真家は目の前の風景と
僅かな瞬間対話をしながら
シャッターを切る。
絵画と違い、手直しもできない。
完成した姿を予測しながら
ある意味委ねながら、作品をつくる。
陶芸に似ている。
写真とは不思議な芸術。
心を揺るがす写真をみるたび
いつもそんなことを思う。
