この2、3日、
76歳の夫がみてるテレビの音がやけに大きかった。
この2、3日、
夫から、「おまえの声、よく聞こえない、なに言ってるのか、よくわからない!」と、大きな声で切り返され、
いつも以上に、嫌な嫌なじいさん夫に成っていた。
昨日の夜、突然私の部屋にやって来て、
「綿棒、あるか?」と、聞いたので、
綿棒を3本、渡した。
そして、今朝、
「左耳がまったく聞こえなくなった」と、悲愴な顔で告げた。
それを聞いた私は、
夫は76歳、
夫と同じ年の私の姉は1年前に死んでるんだもの、
耳も悪くなるだろう、
てっきり老人性の突発性難聴になった、と、踏んだ。
して、連休の合い間の本日、土曜日、
「耳が聞こえないと、困る」
と、悲痛な顔で訴えたので、
めぼしをつけていた近所の耳鼻科医院を教えてやった。
病院行きとはいえ、じいさん夫がいない午前中の我が家は、
家じゅうに心地いい風がそよそよと吹いた。
して、正午前、耳鼻科から戻った夫は、
開口一番、「耳、治った、聞こえるようになった」
と、うれしそうに報告した。
「原因は、何だったの?」
「耳あかが詰まっていたそうだ、左耳がおかしかったから、綿棒で耳あかをとろうとしたら、耳あかが奥にいって、耳の穴をふさいだそう」
「へぇー、耳くそが、耳の穴を見事にふさいだってわけ」
耳あかなどという上品な言葉を使わず、耳くそ、と、言ってやった。
「それで、聴力検査をしてもらったら、年の割りに、よかった」
「老眼にもならず、耳もいい、それは、よかったこと」
「オレの目も耳も達者なのは、おまえが用意してくれる食事のおかげだ、いつもありがとう」
まったくもって、
私は生きてる限りじいさん夫の3食の食事作りから解放されそうもない。
あぁー、あぁー。