時代小説作家、今井絵美子さんの本、「いつもおまえが傍にいた」を読んだ。

今井絵美子さんは2015年5月、乳がんの手術をしたのだが、
その時点で、ステージ4で、3年の余命宣告をうけた。

若い時から作家志望だった今井絵美子さんだが、
彼女のプロデビューは遅くて、55歳だった。

この本は現在70歳の彼女の自叙伝であり、
若き日に夫に自殺されたこと、

その後、作家になるために10歳の息子を連れて広島県の福山から上京したこと、
が、東京ではとうとう作家になれず、無念の思いで福山に戻ったことなどが、赤裸々に綴られている。

福山に戻ってから、ついに作家デビューを果たした今井さんは精力的に小説を書き続けて、
この15年間で50冊の本を出している。

その今井さんの傍にいつもいたのが、愛猫だった。

猫好きな私は、今井さんが愛猫と永久の別れをするシーンになると、今井さんの気持ちがよくわかり、
本を読みながら涙した。

ステージ4で、3年の余命宣告をうけた今井さんだが、
抗がん剤治療を拒否して、執筆にかけ、現在も書いて書いて、書きまくっている。

そんな今井さんはこう書いている。

むしろ、自分の余命がわかったことで救われたような気がする、
わたしにとって最悪なのは、書けなくなってもだらだらと生きていくこと、
と言うのも、わたしの母が80歳でアルツハイマーになり、最後は言葉すら忘れて、自我を失ってしまった姿が焼きついているからである、と。

この本は重くて重くて重いのだが、
読んでいて切なくなるのだが、

私はネットで現在の今井さんのお顔を拝見したのだが、
その顔は穏やかで、剣がまったくなく、

この15年間の作家生活がひじょうに満ち足りていることを思わせた。

一気に読ませる本だった。