評論 No.0784 『劇場用映画 ちびまる子ちゃん 1990年:日本』 | Aruji-no 画廊

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 さくらももこ先生が亡くなる少し前に観たのですが、

 

 何気に、ちゃんとちびまる子ちゃん観たのは初めてに近いかもしれません。

 

 内容は、乱暴者だが頼りになる男子ふたりの友情を中心に描かれるのですが、

 

 とにかく、丁寧に創られた物語です。

 

 人のいい面悪い面が物語的な演出ではなく、普段の行いの中で垣間見るように出ており、

 

 何だいい子じゃんと思う人もいれば、でもやっぱりあいつ苦手、

 

 と思える人も出てくる見せ方となってますが、

 

 そうなるのは、ちゃんとひとりの人間を描いている証明でもありますよね。

 

 作中、そのふたりはそれまでうまく噛み合っていたものが外れ喧嘩してしまい、

 

 ささやかな歩み寄りでそれは修復しますが、

 

 今度は、家庭の事情というこどもが抗えないものに直面したため、

 

 そのやり場のない怒りをお互いにぶつけてしまいます。

 

 ある種の理不尽ささえ感じる仕打ちですが、

 

 誰も恨まず、

 

 その現実を夢をひとつの形で表現することによって

 

 自分の中に落とし込んだふたりは、

 

 いい子どもになっただけでなく、

 

 いい大人になる片鱗も見せてくれたような気がします。

 

 どちらかといえば、狂言回し的なまるちゃんでしたが、

 

 最後の最後でやらかしてくれたのは、

 

 いい〆だった気がしますね。

 

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