1999.8.21

加藤はいつもの扉に乗り込んできた。

9:15発の電車。

「ハヨ」

「おはよー。眠いの?」

「ああ。電話切った後、徹夜でゲームしてた」

「よく起きれたね」

「まぁね。」

土曜の電車は空いていた。

扉近くの狭い、二人がけの椅子に座った。

電車が揺れて、心地良くなった。

終点長野駅で二人と待ち合わせだから、私も少し目を瞑る。

加藤の体温に安らいで、私もいつのまにか寝てしまっていた。


-次は明科、明科です-

私はいつもの窓の風景じゃないことに気づいた。

「加藤!やばい!起きて!」

腕を思いっきり、叩く。

「なに」

やっと起きた。

「これ、違う電車なんだけど!」

-この列車は終点松本です-

車内アナウンスがはっきりと聞こえた。

「やばい。松本行きなの?」

「そうみたい」

「松本着いたら、速攻で公衆電話から高木に電話しなきゃ。アイツ絶対怒ってる。美和、テレカ持ってる?」

「度数15くらいのしか、持ってないよ。」

「しゃあねー、100円玉入れるか。」


-まぁつもとー、終点まぁつもと〜。お乗り換えのお客様は…-