イスラエルとアメリカがイランを攻撃した。ペルシャ湾付近で戦闘が長引けば、日本の原油輸入に大きな悪影響が出るだろう。
 

 1970年代にも石油危機があった。『「経済大国」日本の外交 エネルギー資源外交1967~1974年』(叢書21世紀の国際環境と日本005 白鳥潤一郎著 千倉書房)によれば、第四次中東戦争に起因する1973年の第一次石油危機は「価格」と「量」の二つの側面を持つ危機だったという(p163)。1970年頃まで国際石油資本の支配下で、石油価格は低下していった(同p27)。1969年9月に成立したリビアのカダフィ政権は国際石油資本に要求を突き付け、石油市場は買い手市場から売り手市場に変化していった(同p91)中で発生した事件である。ただし、日本では省エネルギー化と金融引き締め政策による景気の大幅減速により石油需要が大きく低下したため(同p214)、73年12月後半以降には「価格」に焦点が絞られるようになった。なお当時の田中政権は、外交に関しては日米関係を基軸とし、可能な限り米国と事前協議を行っており(同p141)、日本政府が中東政策のアラブ寄りへの「明確化」を行った際も、日本を消費国間協調に引き込みたかったこともあり、米国の反応はそれほど厳しいものではなかったという(同P212~213)。
 

 今回ペルシャ湾で戦闘となれば、物流の寸断であり、「量」の問題となる。紅海側へ積出港を迂回させてもイエメン情勢から輸送が難しいだろう。イエメンのフーシ派は再び紅海の船舶攻撃を開始すると発表した(بريكس بالعربية on X: "عاجل: 🇾🇪 أعلن الحوثيون اليمنيون أنهم سيبدأون بمهاجمة السفن في البحر الأحمر مرة أخرى. https://t.co/iEVMHetAiI" / X 2026/2/28)。現に、海運大手は再び航路をスエズ運河経由から喜望峰回りへ迂回させる(海運大手マースク、スエズ運河から迂回 紅海周辺情勢で喜望峰回りに | ロイター 2026/2/28)。日本も関係する米アラスカ石油開発は始まっていないし、隣の産油国ロシアに対しては経済制裁を行っている。日本の石油備蓄量は昨年12月末現在で254日分(IEA基準では214日分 資源エネルギー庁HP)とされ、エネルギーも多様化しているものの、この状況が長引けば、先のように金融引き締めや景気の大幅減速が起こりかねない。
 

 イランにはロシアや中華人民共和国から兵器が運び込まれているという(「イラン、ロシアと秘密取引 携帯式ミサイル調達 英紙報道」 2026/2/23 時事通信、「イラン、中国製の超音速対艦ミサイル購入で合意間近 | ロイター」 2026/2/24)。朝鮮民主主義人民共和国はイスラエルに対し、イランに対する「テロ」行為を直ちに停止するよう求めている(بريكس بالعربية on X: "عاجل: كوريا الشمالية تطالب إسرائيل بالتوقف الفوري عن الأعمال "الإرهابية" ضد إيران. https://t.co/yV5rUwreSG" / X 2026/2/28)。同国の核開発は、パキスタンやイランとの共同事業と言われている。昨年、イランがイスラエル攻撃に使用した変速軌道ミサイルは日本海でテストされた技術を使っているものとみられる。イランのアラグチ外相は『イランは弾道ミサイルの射程を2000キロメートル以内に「意図的に制限」している』(「イランのICBM完成「まだ先」と専門家 米政権が警戒」2026/2/27  ダウ・ジョーンズ配信)と語るが、本当の実力はどんなものだろう?
 

 一昨年、フーシ派のドローンなどの攻撃にさらされた空母ハリー・トルーマンでは、米軍のFA18戦闘機が自国のミサイル巡洋艦による誤射で撃墜される事件があった(米軍、紅海で味方戦闘機を誤認撃墜…「操縦士2人無事」 | Joongang Ilbo | 中央日報 2024/12/23)。さすがに何らかの対策は取られているだろうが、イランのドローン攻撃に、アメリカの空母打撃軍は優位に立てるのだろうか?新たに投入された空母ジェラルド・R・フォードはトイレ詰まりがひどく、生活空間としては問題が多いようだ(「米最先端航空母艦CVN78、乗組員4600人が使う650個の便器は毎日詰まっていた」 2026/2/13 朝鮮日報)。ギリシャから約150台の移動式トイレを提供されたというが(بريكس بالعربية on X: "قدمت اليونان مؤخراً حوالي 150 مرحاضاً متنقلاً لحاملة الطائرات الأمريكية "يو إس إس جيرالد فورد". والآن بإمكانها الإبحار نحو إيران.https://t.co/pHiqenW3Ge" / X  2026/2/24)、長期間の作戦行動に耐えられるのだろうか?